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『短歌往来』2020年4月号

①梅内美華子「閑夢」21首が圧巻。コロナ禍を扱っているのだが、タイトルにある漢詩と、日本で増え続けるインコを背景に、時事詠に留まらない、深い作品に作りあげている。今号の特集「天変地異を詠む」とも響き合う。

②渡英子「からんどりえ」33首 明治大正の文豪を群像のように描き出した前半に心惹かれた。一首一首の裏に私の知らないエピソードがありそう。『白秋全集』も時間をかけて読み通したいと思っているものの一つだ。

③梶間和歌「災害の影響を受けた和歌」 古今集の「君をおきてあだし心をわが持たば末の松山波も越えなむ」について、貞観地震の際の津波との関連を述べた説を紹介している。「末の松山」と「波」の組み合わせは誇張表現と思っていた。実際の天災が背景にあったとは。

④特集「天変地異を詠む」この特集では、台風15号、19号、熊本地震、北海道地震、西日本豪雨、東日本大震災、等多くの災害が詠まれている。時事詠は時間の経過とともに後ろに流れてしまいがちだ。この特集のように、一つの軸を持って、時間の経った事柄を振り返るのは、意義のあることだと思う。

2020.4.4.~7.Twitterより編集再掲