見出し画像

『國語と國文学』令和四年八月号

松澤俊二 「和歌革新」を進める力

 
〈なお問われるべきは、「新派」の理念や方法が社会的にどう浸透し、「旧派」を凌駕するまでに勢力を伸張させ、革新を現実化していったかではなかろうか。〉
    雑誌「女子文壇」の投稿欄を通して、いかに新派が浸透していったかの論。
〈「文壇」の姿勢は突如変容する。二巻九号(1906・7)の巻頭論説「新派を学べ」より引用する。(…)〉
〈「新派を学べ」から一年余り経て、四年一号(1908 ・1)より「新派和歌」欄が開設された。選者は与謝野晶子である。〉
    編集者の河井酔茗の意図があったということだ。
〈晶子に関わる近況報告等は、(…)晶子とその業績の現代における重要性を読者たちに示し、彼女こそ憧れなくてはならないという〈羨望のルール〉まで感得させる〉
    ここ、無茶苦茶面白い。晶子は「女子文壇」読者たちのアイコンだった。ジャーナリズムが晶子をそうさせたのだ。現代にも通じる話だ。

2022.10.27.Twitterより編集再掲