木下利玄の歌 二首鑑賞

いもうとの小さき歩みいそがせて千代紙かひに行く月夜かな 木下利玄 昔教科書で読んで気になっていた短歌。なぜ日が暮れてから子供二人で出かけるのか。なぜ千代紙を買うのをそんなに急ぐ?妹はまだ速く歩けないのに…。年の近い姉妹の挿絵がついていたが、年の離れた兄の歌ならまた味わいが違う。

街をゆき子供の傍を通る時蜜柑の香せり冬がまた来る 木下利玄 この歌が詠まれた大正時代に「子供の冬のおやつ=みかん」が定着したらしい。子供好きだったが、生まれた子に次々早逝された利玄が、通りすがりの子供に蜜柑の香を感じている。昭和の冬もこたつにみかん。舌が黄色くなるまで食べてた。

2019.11.21.Twitterより編集再掲