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#KOUGU維新 それは奇妙かつ魅惑的な夢(20210612また追記)

※※※このnoteはミュージカル『最初で最後のミュージカル KOUGU維新±0〜聖夜ヲ廻ル大工陣〜』のネタバレを大いに含みますのでご注意ください。ネタバレに関する責任は一切負いません!※※※


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日本テレビで水曜日の夜19時からレギュラー放送中の純度100%バラエティ『有吉の壁』。この番組にはお笑いだけでなく、夢もある。


番組中の1コーナーとして“流行語大賞の壁を超えろ!ブレイク芸人選手権“がある。これは芸人たちが「キャッチーでポップなキャラクターネタ」を作って発表するコーナーだ。スベるのが普通、だが一方で当たれば非常にでかく、CMが来たり他番組にも呼ばれたりする。

たとえば、一大ムーブメントを巻き起こしたチョコレートプラネットの「TT兄弟」や「Mr.パーカーjr.」はこのコーナーから始まったし、ジャングルポケットによる「ストレッチャーズ」はお椀で食べるカップラーメンのCMや年末のガキ使にも出演を果たしている。

そして2020年夏、ハイリスクハイリターンなこのコーナーから生まれ落ち、Wikipedia日めくりカレンダーまでできるほど一部の界隈を席巻している一大コンテンツ――それが、“KOUGU維新“である。


KOUGU維新とは

KOUGU維新、それはお笑いコンビ「きつね」が発明した「ちょいダサが売りの2.7次元アイドル」。漫画やアニメ=2次元作品を実写舞台化する「2.5次元コンテンツ」(有名どころでいうと『刀剣乱舞』『テニスの王子様』など)のパロディネタである。

さらに詳しく言うと、きつねの二人が扮する「プラスドライバ」と「平やっとこ」が絶妙におもしろくない小噺的なやり取りをし、「いざ参らん!」の一言を合図にしてオリジナルの歌とダンスを披露するミュージカル調のネタだ。

おもしろすぎる小噺はネタ作りの段階でボツにしているといい、これが本当に絶妙な加減でおもしろくない。それが癖になる。

明治時代、倒幕運動で荒れ果てた建造物を復興しようと奮闘する、命宿りし工具の物語――というのが公式に設定された世界観である。ちなみにKOUGU維新ファンは「親方(お館)様」と呼ばれる。

このあたり私はあまり詳しくないのだが、セリフに漂うどことない寒さや独特の空気感など、本家2.5次元のファンも唸るほど作り込まれているらしい。その完成度は、YouTubeのコメント欄に「研究し尽くされている」といった絶賛の言葉が散見されるほど。さらには本家2.5次元俳優さんの「入りたい」発言も……。

さらに、有吉の壁公式YouTubeでの生配信は常にぐだぐだ&絶妙にスべりつづける地獄の空気なのだが、それすら若干の既視感があるらしい。そうなるともはや本家2.5次元が怖くなってくるけど……。


KOUGU維新の特徴

KOUGU維新は「視聴者参加型コント」である。

たとえば、本家2.5次元ファンが「2.5次元ファンあるある」を駆使し、動画のコメント欄で「ガチファンっぽいコメント大喜利」を始めたり、“舞台があった”と仮定してその感想を書いてみたり。

KOUGU維新には、みんなが参加できる余白があるのだ。

有吉の壁スタッフの力の入れようも尋常ではないらしく、有吉の壁通常回のためにすら歌・ダンス・殺陣・芝居の稽古日が設けられるほど。そもそもを辿れば、KOUGU維新が初めて登場した有吉の壁放送直後にYouTubeがあがったので、みんな「これはバズる」と予期していたのだと思う。

裏方に熱量があるほど、コンテンツは盛り上がるものだ。

『有吉の壁』MCの有吉さんや、きつね本人すら「何がおもしろいのかわからない」と述べているが――いつしかコメント欄は次第に大喜利コメントとガチオタコメントが入り混じるようになり、Twitterには神絵師のファンアートが溢れ、コント中のセリフも歌詞もすべて深読みする考察班が現れ、「なぜだかわからないけどすごい熱量で応援してしまっている」と語る人が増えた。

そしてついには、れっきとした音楽番組『バズリズム02』にも出演。2020年12月24日にはHuluにて有料配信ミュージカル『最初で最後のミュージカル KOUGU維新±0〜聖夜ヲ廻ル大工陣〜』をガチで開催、ちゃんとグッズも販売された。

このようにして、KOUGU維新はオタク層の共感を獲得し、クセになるちょうどいいダサさとその意外なビジュアルの良さから、今までその層にいなかった人まで巻き込んだ。そして考案者であるきつねの二人を戸惑わせるほど急速なスピードで人気に――お笑いのひとネタから、一大コンテンツへと成長を遂げたのである。

KOUGU維新の特徴がもうひとつある。「二重演技構造」だ。

まず「プラスドライバ」「平やっとこ」など“KOUGU維新のキャラクター“があり、次にそのキャラクターを演じている俳優=“中の人“にも設定がある。それに扮しているのが、きつねやトム・ブラウンなどの芸人たちだ。

KOUGU維新のメンバーとなった芸人は、ネタ中や歌唱中に見せる“KOUGU維新のキャラクター“としての演技と、主にYouTube生配信で見せる“中の人“としての演技、この両方を求められるのである。

ちなみに、「“中の人“にも設定がある」のは、KOUGU維新初のYouTube生配信で初めて明かされた事実であり、有吉の壁スタッフすらその生配信本番まで知らなかったらしい。

現在は一応、「第一章完結」ということになっている。『有吉の壁』にて発表された最終回では、プラスドライバがやっとこを連れ海を渡っていった。本当につづくのかは不明である。


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そういうわけで、ここからは愛すべきKOUGU男士たちを紹介するコーナー!!!!!いざ、参らん!!!!!

KOUGU男士・原点にして頂点の二人

(エッサムネイルかっこよ…………)

プラスドライバ
「締めるも緩めるも我が親方の自由」
必殺技:崩壊螺旋 スクリュードライバー
やっとことの必殺技:締緩掴離の繕い 照直志(てなおし)
中の人:乙ルイ
中の芸人:きつね 大津広次さん

金髪に全身ホワイトの超王道ど真ん中な麗しきスタイリッシュ王子様キャラ。光の主人公属性。個性の強いメンバーばかりなKOUGU維新のまとめ役でありツッコミ役。「まったく…」とか言っちゃう。ジャケットの下がサスペンダーってのがまたしんどい。好きです。

後述する兄・マイナスドライバに愛され、「マイナスドライバーよりプラスドライバーのほうが便利じゃん」という時代の波にも愛され――あらゆる存在に承認され、兄に憧れながらまっすぐ育った。だが、それらすべてが実はマイナスドライバの闇落ちを導いている。

普段の一人称は「俺」だが、兄の前では「僕」になる。KOUGU維新の輪の中ではしっかり者な振る舞いを見せるけど、兄の前ではちょっと甘えた声音のかわいい「THE 弟」になる。え~~~!?!?もしかしてギャップ萌えってやつですか~~~!?!?

中の芸人・きつね大津さんは全キャラクターへの細かい演技指導もしており、俳優陣の中でも特にKOUGU維新そのものへの理解・解釈が深い。プラスドライバのお辞儀や立ち姿にそのこだわりが見えるのが強い(なお、原作としての二次元作品が存在しないKOUGU維新において“解釈“って何、というツッコミは受けつけない)。

また彼は「KOUGU維新をやればやるほど本ネタ(パリピ漫才)が思いつかない」と発言するなど、初期にはかなりの戸惑いを見せていたが、約4ヶ月後、第一章最終回のYouTube用動画収録が終わった後には「寂しい」とこぼすほどに。

あと美容整形が趣味と公式プロフィールに書くだけあってビジュアルが仕上がっている。それに加え声も素敵。正直、KOUGU維新の人気に火がついたのはそれらの力もかなりあると思う。好きです。

それにしても必殺技の名前ダセェな!!!!!
しかしそれでこそKOUGU!!!!!


平やっとこ
「一度掴んだら離さねぇ、もちろん親方様の心もなぁ!」
必殺技:地獄八景 工具戯れ
プラドラとのコンビ技:締緩掴離の繕い 照直志
中の人:淡川幸一郎
中の芸人:きつね 淡路幸誠さん

赤髪に赤い目の荒くれ者。ちょっとおバカで細かいことは気にしないお調子者キャラ。非常に仲間想いで、プラスドライバの誕生年をちゃんと覚えていたりする。また食いしん坊で、ことあるごとに食べ物の話題を出してはプラスドライバに「また食べ物の話か」と呆れられている。酔うと泣き上戸になる。だがやるときはやる男。

プラスドライバとは特に強い絆で結ばれており、いわゆるニコイチ。普段はヘラヘラしている彼だが、変わってしまったマイナスドライバを前にプラスドライバが弱気になれば、その素直で熱いハートを滾らせ「工具とは何たるか」を叫びマイナスドライバの前に立ちはだかる。酒を飲むと「いいところは全部(プラス)ドライバに持っていかれる」なんて嘆くやっとこだけど、土壇場でプラスドライバを救うのはいつもやっとこなのである。ありがとう、良いコンビです。

そんなつよつよ信頼関係からか、KOUGU維新第一章完結編にて、海を渡ろうとするプラスドライバが「お前には付いてきてほしい」とやっとこにだけ告げるし、やっとこはやっとこで「理由はわからねぇが、どこまでもお前に付いていってやろう」と返答してそのまま一緒に海を渡っちゃうのである。

この感じだと、プラスドライバのためなら殺しも厭わないんだろうな。でもそれをプラスドライバは絶対に止めようとするんだろ。わかるさ、わかってんだよ(???)。

中の人・淡川幸一郎の演技には魂がこもっていて、「原作をめちゃくちゃ読みこんで体現しようとしている努力」が非常に強く感じられる。いや、何を言っているかわからないとは思いますけど。そもそも原作とかないのに何言ってんだって話なんですけど。

中の芸人・きつね淡路さんはDJが趣味であり、KOUGU維新の楽曲中に差し込まれるラップはそれを生かして作っている。あと、これはきつねの二人ともに言える話だけど、めちゃくちゃ化粧映えする顔。奇跡かよ。

ちなみにパンサー菅さんはやっとこ推しだそうです。


第一期追加キャラクター

鉄槌
「裏切り者へ正義の鉄槌、下す」
中の人:音道わたる
中の芸人:トム・ブラウン みちおさん

ちょっととぼけたパワー系キャラ。やっとこと馬が合うらしい。「ほげほげ~」とか言っちゃう。なぜか「人語を少し習得しているモンスター」みたいなカタコトでしゃべる。命が宿ってからあまり時間が経ってないのかな。と思ったら普通にしゃべるシーンもある。安定しないな~。

個人的に、中の人の名前が「音道わたる」ってのがツボ。中の芸人みちおさんの背格好に「音道わたる」が尋常じゃないレベルでハマっていると思う。KOUGU維新のせいで、もうトム・ブラウンとして存在しているときのみちおさんすら「音道わたる」にしか見えない。助けてくれ。

KOUGU維新の大事な小道具である工具はどれも軽い素材で作られているが、鉄槌だけは金属が入っていてちゃんと重いらしい。それでも後述する砥石と白熱の殺陣を見せた音道わたる……すごいぞ音道わたる……。


キリ
「親方様への愛の意志、どこまでも深く貫きます」
中の人:宮布いつき
中の芸人:トム・ブラウン 布川ひろきさん

狐の耳・長身痩躯・長髪・クール・「やれやれ」とか言っちゃうタイプの敬語キャラ。男性だけど、「妖艶なお姉さん」のイメージに近い。完全に属性過多。ちなみに酔うと笑い上戸になる。

中身はあの奇妙な見た目でいろんなものを合体させる奇妙な漫才をしているトム・ブラウンのはずなのに、なんだか美しく見えてくる。怖い。そうそう、トム・ブラウンはKOUGU維新のおかげで女性ファンが増えたらしい。

『バズリズム02』でのパフォーマンスで、後述する泣き虫少年キャラ・巻尺の頭をなでる演出がされたのだが、「需要をわかりすぎている」とファンが湧いた。こういうところにキャラクター原案・演出を手がけるきつねがどれほど2.5次元を研究したかが現れている。


この二人、実は『有吉の壁』のブレイク芸人選手権本編には一度も登場していないネット限定キャラである。

きつねとトム・ブラウンは中野駅から徒歩20分の極小劇場で活動していたようなまったく売れていない頃からの付き合いで、きつねが「誰か一緒にできる人いますか?」と聞かれたらまっさきに名前を出せるような唯一の芸人とのこと。何それ、エモじゃん……これだからお笑いってやつは……。

KOUGU維新としての活動中、トム・ブラウンの通常モードである狂気的な言動は一貫して封印されている。きつねが作ったもの・その世界観へのリスペクトなんだろうか。え?トム・ブラウンって実はとっても良い人たちなの?


第二期追加キャラクター

巻尺
「親方様への想い、寸分の狂いも御座いません」
必殺技:水竜
紙やすりとの必殺技:計巻磨擦の繕い 天の川
中の人:KATA
中の芸人:空気階段 水川かたまりさん

冷静で知的で丁寧な敬語を使い、所作には陰陽師っぽい要素が見られる少年キャラ。水色の髪と瞳が特徴的。袖丈余りまくりの狩衣を着ている。そしてめちゃくちゃ泣き虫である。すぐ泣いちゃうんだけど「弱くないもん!」って主張するタイプ。よく後述する丸ノコに泣かされている。ダンスも歌も全部がたどたどしくてかわいい。つまり母性くすぐってくるタイプ。

中の人・KATAはミュージカル俳優を目指しながらブログで生計を立て、ついにはサーバー自体を作っているらしい。どういうこと?あと小3までウィーンに住んでいたけど言葉はからっきしらしい。どういうこと?

中の芸人・かたまりさんは、スケジュールに勝手にKOUGU維新を入れられていて、そのまま流れるように巻尺にされたとのこと。もしかして空気階段のマネージャー、敏腕?そしてこれ以降、かたまりさんはKOUGU維新以外でもきつねのネタに巻きこまれる運命をたどっている。がんばれかたまりさん!


紙やすり
「すりすりすりすりスリリング!」
必殺技:やすりすり
巻尺との必殺技:計巻磨擦の繕い 天の川
中の人:小橋宇宙(こばしそら)
中の芸人:四千頭身 石橋遼大さん

ピンク色の髪の毛にピンク色の袴をまとったみんなの弟。甘えん坊で天真爛漫な圧倒的末っ子気質。『バズリズム02』出演時には歌唱中に大事な本体である紙やすりを落としてしまったが、それすらおてんば紙やすりちゃんっぽい。

キャラクター自体の愛らしさに今をときめくお笑い第七世代の輝きが掛け合わされ、特に人気がえぐい。その忙しさゆえ、直前まで「KOUGU維新のミュージカルに参加できないかも」というギリギリの状態だったとのこと。なんとか出演してくれてありがとう……やすり、あなたがいないとKOUGUはKOUGUじゃないの……。

巻尺とセットになることが多く、そのときには泣き虫な巻尺を「泣かないで」と優しく慰める一面も。このコンビは親方様のあいだでは色味から「キキララ」と呼ばれている。なんならもう公式もキキララって呼んでいる。

ミュージカルでいうと、工具リベリオンに巻尺×紙やすりコンビで挑むシーン――「やすり、行きますよ!」「待ってました!」からのコンビ技炸裂、この流れがとても好きです。

またこのとき、巻尺×紙やすり専用ソング『みるきぃ~うぇい』も初披露された(作詞はプラスドライバ&やっとこ)。

親方様 親方様さま こっち向いてよ
ねぇ おしとやか派?おてんばなのかな?
赤と青のマグネット

――『みるきぃ~うぇい』

もしかして“セクシーなの?キュートなの?”的な話ですか?


実はかたまりさん、散々練習してきたのに、この歌に合わせるダンスの振り付けが本番直前のリハーサルでひとつも出てこないという危機的状況に追い込まれていた。また四千頭身の多忙なスケジュールの都合により、石橋さんもそのリハーサルで初めて全体の流れを知り、初めて合わせたとのこと。

それでも本番のパフォーマンスはまったくそんな裏を感じさせなかったんですよ……これが売れているプロの力か……。


(私には見えるぞ……キリの仕事の手伝いをするんだけどうまくいかなくて泣いちゃってヨシヨシされている巻尺と……やっとこと一緒に何かしらのいたずらをしてプラスドライバに怒られている紙やすりちゃんが……。)


第三期追加キャラクター

砥石
「しゃらくせぇ!」
中の人:渡哲夫
中の芸人:ワタリ119さん

ちょっと短気だけど、まっすぐで熱血漢なキャラ。筋肉がしっかり美しい体ながら、戦闘中の役割で言うと実はサポート系。だけど鉄槌に稽古をつけることができるくらいパワーもある。若干やっとことキャラが被り気味。

砥石は鍵盤ハーモニカを用いて作られている。

中の芸人・ワタリさんはKOUGU維新として出る少し前の『有吉の壁』にて、一般人の壁コーナーのネタとして披露するためにピアノを猛練習していた。

その直後、バンドネタを披露するためにピアノができる人を探していたKOUGU維新からオファー。それを受け、再び猛練習してKOUGUデビューを果たしたとのこと。すごい。「できないから」とのっけから諦めずに断らない勇気も人生には必要なんだな、などとまじめに考えてしまった。

上半身の一部をさらすタイプの衣装なので、ミュージカル前は食事を抑え気味にし、さらにメイクさんに頼んで腹筋に若干の影を入れていた。こういう自主的なこだわりと熱意がKOUGU維新を支えている。


丸ノコ
「みんな、狂ってるぅ?」
中の人:綺羅星輝(きらぼしひかる)
中の芸人:パーパー ほしのディスコさん

稽古を殺し合いだと勘違いするなど、狂った言動の多いサイコパスキャラ。それでよく巻尺に怒られるが、最後には逆に泣かせてしまう。銀髪にスタイリッシュスーツ、そして一番歌がうまい。

「砥石にまとわりついてはキレられるんだけど、戦場ではめっちゃ息が合う」みたいな画を妄想しちゃうね。


この二人が初登場したブレイク芸人選手権は、KOUGU維新初の❌だった。新曲がバンド調だったため、楽器の練習に必死でネタをちゃんと考えていなかったらしい。きつね大津氏いわく「単純におもしろくなかった」。何それウケる。


第四期(ダークサイド登場)

マイナスドライバ
「闇を愛し、闇に生きる者」
中の人:無神慧(むかみ さとし)
中の芸人:パンサー 向井慧さん

黒に身を包むプラスドライバの兄。森羅万象をマイナスに作り変える力を持つ。

幼い頃はプラスドライバとオセロをしたりして仲良く遊んでいたが、時代に愛されたプラスドライバとは対照的に、大人になるにつれ「古いもの」「いらないもの」として冷遇されるように。挙句には悪い業者に使われて違法建築に関わってしまう。それによって絶望し、自身に憧れを抱く弟・プラスドライバの前から姿を消して闇堕ちした。

すべての建物を解体して作り変えようとする計画“解体新章“を掲げ、KOUGU維新の敵対勢力“工具リベリオン“を結成――そしてついに、クリスマスの戦場でプラスドライバと再会する。始めはえぐい強さを見せつけ、プラスドライバをひざまずかせた。だが、そこでトドメを刺せるはずだったのに、彼は刺さなかった。それはもしや「かわいい弟への愛」がまだ残っていたからか。

最後はKOUGU維新の絆に敗北。戦いの後、プラスドライバにクリスマスプレゼントとしてオセロを贈り、和解の一歩を踏み出す――「今度は負けねぇからな。」「僕も負けないよ。」――その模様が描かれたミュージカルのタイトルは『KOUGU維新±0』……±0……プラスとマイナスが、またその絆をゼロから始めようってこと……ウッ……尊い……ッ……!

中の人・無神慧がまた良い。飄々としたクールな感じがカッコイイ。ふとした瞬間に見せる笑顔がso cute。たぶんその言動はともすればそっけないとか冷たいとかいった印象を与えがちで、それゆえにかんちがいされちゃうタイプなんだと思う。後輩の俳優にちょっと上から行く感じもなんかリアル。いや、マジのリアルは1ミリも知らんけど。

だがしかし一番語るべきは「中の芸人・パンサー向井慧の本気」だ。総合すると、マイナスドライバの完成度が一番高いと思う(※個人の感想です)。実際、キャラクター演出を手掛けるきつね大津さんに「わかってますね」と言われていたり、ミュージカルの稽古でもどんどん役に入って、「めちゃくちゃつばぜってくる」と驚かれていたり

向井さんはそもそもコント師ってこともあるし、KOUGU維新メンバーの中では芸歴が長く、またテレビに出始めてからの期間も長い。そんな彼が演じる「マイナスドライバ」「無神慧」には、踏んできた場数や圧倒的に高い経験値が反映されているのだ。特にミュージカルにおけるコメディ部分が顕著だった。なんというか、アウトプットの滑らかさと厚みが違う。

「スポットライトの中に憂いを纏ったマイナスドライバがゆっくりと登場するシーン」なんて、美しすぎてあやうくガチ恋するところだった。危ない。油断ならない。しかしその後、「ふん…」と鼻で笑うシーンが一瞬あって、結局それで完全に撃ち抜かれてしまった。キャラ解釈・キャラメイクが完璧すぎる。「ボタンの置き方」にもそれが顕著に出ていた(わかる人にはわかる書き方)。

また向井さん自身がベビーフェイスの持ち主だから、単なる「深い絶望」ではなく「ほっとけなさ」みたいなものが滲み出て、それに惹かれるのかもしれない。ドライバの一族、軽率に母性くすぐってくるじゃん。ホントダメだよ(褒めてます)。

『有吉の壁』初登場時には有吉さんに「生き生きしている」と言われ、「実は前から一枚噛みたいと思っていた」と笑顔で発言。その後、有吉の壁公式YouTubeで不定期配信されているラジオ企画『○○のバス』では「お化粧してやるお笑いが好きだと気づいた」とも発言している。

基本KOUGU維新に対し「なんなのこれは?」「これはおもしろいの?」と少し冷めたような態度を見せる彼だが、芸人としての照れがあるだけで実はめちゃくちゃ楽しんでいるし一番真剣だと思う。きゅんです。

「ドライバ兄弟の歌」音源化まってるよ!


第五期(祇園編)

※下の動画には「下ネタを言うKOUGU男士」の映像が含まれます。そういうのが苦手な人は見ないでね。

ボックスドライバ
「親方様の想い、何でもはめ込んでやるぜ!」
中の人:なかとうりんね
中の芸人:EXIT りんたろー。さん
プラスドライバの元師匠で、プラスドライバのことを「ネジ巻き小僧」と呼ぶ。

カッター
「親方様への愛の形、ウチ好みに切り取らせてもらいます〜」
中の人:カダイキチカ
中の芸人:EXIT 兼近大樹さん
ボックスドライバの現在の弟子で、京都弁を使う。どうやら若干メンヘラ気質。


祇園編は、『有吉の壁』には登場していないが、パリピ漫才でおなじみEXITのオンラインライブ『ただ君に面白いと言われたかった...~GALAXY チャLIVE~』内で披露された。その縁か、EXITの二人は『KOUGU維新±0』でもナレーションを担当している。きつね自身も本ネタはパリピ漫才であり、過去にEXITと別件でコラボしている


第六期(第一章完結編で登場)

トロ舟
中の人:かやら龍
中の芸人:かが屋 賀屋壮也さん
明るく気さくな生粋の江戸っ子。よくボケる。それとギアが言った南蛮っぽい言葉を「江戸で言うところの…」とわかりやすく例えてくれる。そして頼めば船も出してくれる。笑顔もおなかもかわいいね。

ギア
中の人:五味刃
中の芸人:三四郎 小宮浩信さん
ハイテンションな南蛮の工具で、漂流して日本の海岸に辿り着いた。「カプリチョーザ!」「ペペロンチーノ!」と、南蛮っぽい言葉をよく叫ぶ。

最初は「ボケがKOUGUじゃない」ときつね大津氏から批判されていたものの、そこはさすが入れ替わりの激しい芸能界に長く生き残っている小宮氏、ボケの感じをチューニングしてきているそう。


この第一章完結編にて、トロ舟がギアを故郷へ送るために出航するとき、プラスドライバも何か目的を持って同行する(やっとこも理由はわからぬままついていく)。

これをネット上で「KOUGU維新は全員和名だが、プラスドライバだけ英語。それでプラスドライバは自分のルーツに悩み、それを探るために海を渡るのではないか」と考察している天才がいて危うく泣くところだった。考察班えぐすぎんか?

それと、海を渡っていくときに流れる、KOUGU維新第一期~第四期のメンバーによる「見送りの言葉」が熱い。激アツ神演出。軽率に泣いちゃうやつだからやめてほしい(褒めてます)。


第七期(工具リベリオン)

ミュージカル『KOUGU維新±0』にて、KOUGU維新の敵対勢力「工具リベリオン」のメンバーが初登場。つまりマイナスドライバの手下である。ちなみに、KOUGU維新の掛け声が「いざ、参らん!」なのに対し、工具リベリオンの掛け声は「いざ、出陣!」。


インパクトドライバ
「全てのネジを外し、親方様を崩壊させてやるぜ」
中の人:もぐもぐ鈴木
中の芸人:空気階段 鈴木もぐらさん

右腕がいわゆる電動ドライバーになっているキャラ。ささいな単語を下ネタに聞き間まちがえては「エッチなことを言うんじゃない!…ガハハハ!」と笑って空気を凍りつかせる天才。

相方・かたまりさんのKOUGU維新参戦を見て、空気階段の冠ラジオ『空気階段の踊り場』にて「俺も出たい」「インパクトドライバーはどうか」と言い続けていたもぐらさん。

なんとリスナーの中に、本家2.5次元で活躍する小道具制作のプロの方がおり、その方がインパクトドライバ(しかも先端がちゃんと回転する)を製作してもぐらさんにプレゼント。その後も徐々に衣装を作ってはラジオに郵送するという、まさかのディアゴスティーニ方式でインパクトは作られた。それに加え、インパクトドライバの歌までリスナーから大募集していた。

最初はもぐらさんの出演希望を受けつけなかったきつね大津氏も、次第にインパクトの加入を前向きに検討し始めた。その完成度や本人&ファンの熱意は、敵役ではあるが、ついにもぐらさんが抱いたKOUGU維新加入の夢を叶えたのだ。

大津氏によると、「敵対勢力・工具リベリオン」という発想自体、インパクトが存在しなければ生まれなかったらしい。

熱意が奇跡を生む。それがKOUGU維新というコンテンツ。


●この件に関する詳細なnoteを発見。書いてくださりありがとうございます!



チェーンソー
「全ての物を切り倒し、親方様を薙ぎ倒す」
中の人:みやじん
中の芸人:宮下草薙 宮下兼史鷹さん

左腕がチェーンソーになっているキャラ。金髪・長髪で妖艶・冷酷系。服装はアイアンマンなどの要素を感じさせる。マイナスドライバを「閣下」「御中」「総帥」などと呼び、めちゃくちゃ崇拝している。インパクトドライバの聞きまちがいを毎回冷たい視線で見ているのだが、これは歪んだ友情によるものらしい。

インパクトドライバとのやり取りはまったく噛み合っていないのに、チェーンソーはインパクトドライバにペニシリンをプレゼントするなど、なんだかんだ仲が良い感じがするのが癖になる。「えらい人の側近だけどそんなに強くなくて妙に憎めない悪役」ってあるあるだよね。

中の芸人・宮下さんはチェーンソーを起動させるときにひっぱるヒモ状のやつが「短い」といって自分で作り直したとのこと。ここでも現れた自主的なこだわりと熱意。最高of最高。

悪役二人はミュージカル本番までキャストが明かされていなかった。インパクトドライバは空気階段のラジオやミュージカルのポスターでの匂わせがあった分そこまで隠れていなかったが、宮下さんはガチ中のガチシークレット。そういうわけでSNS上に「シークレットは有吉さんじゃないか」と言う人が出現。それを宮下さんは「少なくとも一人はガッカリさせる」と嘆くのであった……。


✶✶✶


ここまででもう1万字超えてしまったんだけども、最後にガチで各種サイトにて配信中のシングルを紹介しよう。

1stシングル『KOUGU維新のテーマ』

すべての伝説は、この一曲から始まった――。

我ら命宿りし工具 たとえ錆びようとも
弱き心修理して 桜舞い散る

_人人人人人人人_
> 脈絡なく散る桜 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄

配信シングルで歌っているのはプラスドライバとやっとこの二人のみ。バズリズム02バージョン(上の動画)で注目なのは、なんといってもかわいい巻尺のソロパートと“舞えや 舞えや~“部分の絶妙にダサいステップ。あとはキャラ解釈が完璧すぎるプラスドライバの立ち姿。


2ndシングル『焔(エン)~kougu memory~』

(「やっとこのほうが背が高い」ってのもエモなんだよな……。)

君という名の鎧 今すぐ脱ぎ捨てて
即焼き付けろ はんだごて

こちらも歌っているのはプラスドライバとやっとこのみ。突然ぶっこまれるやっとこのセリフ「雪だ…」がダサいし、終盤落ちサビ前の「英語の歌詞っぽいけどよくよく聞いてみたら工具の名前を羅列しているだけ」な歌詞がまたダサい。これぞKOUGUイズム。

ミュージカル『KOUGU維新±0』では、花吹雪が舞う中でこの曲をバックにKOUGU維新とマイナスドライバが戦った。

プラスドライバとやっとこのコンビ技「締緩掴離の繕い 照直志」を食らって倒れるマイナスドライバ。手を差し伸べるプラスドライバ。それを跳ね除けたマイナスドライバはプラスドライバの胸ぐらをつかみ、再び武器を振るう――。

ここ、憎しみと憧れと哀しさと慈しみと怒りと、さまざまな感情が交錯したすばらしいシーンでした(ガチ)。

で、この歌の「英語の歌詞っぽいけどよくよく聞いてみたら工具の名前を羅列しているだけ」の部分で、“マイナスドライバ“と歌う瞬間にプラスドライバがマイナスドライバへ手を差し伸べるんですよね。「兄さんも仲間なんだよ」ってことですか?天才か?よくできすぎてるのよ!アアアアア


ちなみにこの二曲はカラオケ(DAM・JOYSOUND)でも絶賛配信中!!!!!歌ってプラスドライバとやっとこに印税を贈ろう!!!!!


✶✶✶


結びに

KOUGU維新、それは奇妙かつ魅惑的な夢。
KOUGU維新、それはもはや奇跡かつ伝説。

自分でもなぜこんな長すぎるnoteを書くほど熱をあげているのか全然わからないけれど、これだけは断言できる。プラスドライバとマイナスドライバが私の推しだ。

番組で披露するために作られたキャラネタがこんなたくさんの大人たちを巻き込む特大コンテンツにまで成長したこと、その奇跡に思いを馳せる。

その果てに行き着くのは、感謝――KOUGU維新、生まれてきてくれてありがとう。きつねのお二人、KOUGU維新を思いついてくれてありがとう。

そして――工ミュ(KOUGU維新ミュージカルの略)の円盤化&公式本の発売、待ってるよ~!!!!!!


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【祝】工ミュ円盤化決定!!!!!

ミュージカル本編まるまると、Huluで有料配信された本番直後のキャストによる反省会と、DVD限定メイキング映像を含めて3000円切ってる!!!!!つまり実質無料!!!!!

こりゃもう日テレに足を向けて寝られないぜ!!!!!


どうやら渋谷のTSUTAYAに同胞がいる。


この日本のどこかに生きる同胞が本気を出したのだろうか。Wikipediaが一番最初にこのnoteを書いた頃よりも一億倍詳しくなってて感動している。


【再び祝】KOUGU維新公式ファンブック発売決定!!!!!

こんな夢が着実に叶っていくことある?もはや怖い。



※パンサー尾形さん・ジャングルポケット斎藤さんがKOUGU維新に便乗して『有吉の壁』の“一般人の壁“コーナーで披露した「BUNGU維新」「SHINGU維新」にも触れようと思ったんですが、長くなってしまったのでやめておきます。


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