夏の北海道を思い出す、とうもろこし
とうもろこしは両手で持ってかぶりつくのが一番おいしい。蒸しても、焼いてもジューシーで甘い!
夏になって、八百屋さんの店先などでとうもろこしをみると、ソワソワする。今日買おうか、どうしようか。でも今日の献立は決まっているし…。
買ったその日に調理したほうがおいしいので、その日の献立を考えてしばし悩む。とうもろこしはそれだけで結構おなかがいっぱいになるからなあ、と買いそびれてしまうこともよくある。
小学校時代、父の転勤で北海道に住んでいた。
夏の縁日には必ず焼きとうもろこしが出て、香ばしいにおいを漂わせた。でも縁日の時は、ほかにも誘惑的なものがいっぱいあった。綿あめ、ポップコーン、あんず飴、ベビーカステラ、カルメ焼き。
いつもは買ってもらえないものをあれこれ悩むのが楽しかった。甘いものを食べたくなって、焼きとうもろこしまでたどり着けなかった。
でもお祭りでなくても焼きとうもろこしは売っていて、探さなくてもそのいい匂いにつられていくと、店先で焼いていた。刷毛でしょうゆを塗っている。それが網から落ちて、ジュ~ッと音を立てて焦げた。プン、とまた香る。
そんな時は「甘いお菓子よりいいから」と買ってくれて、置いてあるベンチでほおばった。
小さい口を一生懸命開けてガブッとかじりつくと、歯が熱い。アチ、アチチ! それでもがんばって一口かじり取ると、ジュッと甘い汁が口の中にほとばしる。同時にしょうゆの焦げた香りが飛び込んでくる。
甘くてしょっぱくて、ジューシーで、うまい!
時々汁をこぼして怒られながら、必死に食べた。なかなか1本丸ごとは食べきれなかった。でも大満足だった。
ハニーバンタムという甘くて食べやすい品種があって、子どもながらにその名前を覚えた。お店の人は「私は昔のあっさりしたのが好きだけどねえ」といっていた。
今は焼きとうもろこしはめったに作らない。
蒸すか、煮るか。
皮をむしるが、1枚だけ残す。私は蒸すほうが好きで、1本を3つに切って蒸し器に入れる。蒸しあがってふたを開けるともわっとすごい湯気が上がってきて、暑い。
昔はかぶりついたけれど、今はがんばって一列だけ縦に一粒ずつはがすようにして食べる。一列食べ終わったら、あとはそこからきれいにつぶつぶをまとめて取りながら食べる。
ガブッとかじるとおいしいのだが、食べ終わりに身がいっぱい残るし、歯に挟まるし、食べにくい。
だからこんな食べ方になった。
なんと今は一列とることのできる道具がある。それ以外にもいろいろな種類のとうもろこしカッターが出ている。びっくり。でもとうもろこしにしか使わないのかな。だとしたら1年に何回くらい使うのだろう。
としたら、わざわざ買わないか。自分で取りながら食べるのが好きだから。
夫はガブッとかじっている。それが一番おいしいのだと思う。
とうもろこしはビタミンBやカリウム・マグネシウム、アミノ酸など栄養豊富で疲労回復、夏バテ防止にぴったりとのこと。
今度見つけたら買おう。夏のうちに一度は焼きとうもろこしを作って、かぶりつきたい。
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