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屋台バーをめぐる冒険①

先日、私が在籍しているアート学校の先生から「屋台バー」なるものの存在を教えていただきました。その名も「TWILLO(トワイロゥ)」。
恐らくインスタレーションとしての「ハイボールアート」を計画している私へのヒントだったのだと勝手に解釈していますが、もしかしたら酒飲みとしての私に面白そうなスポットを紹介して下さっただけなのかもしれません(笑)

兎も角、これをきっかけに深夜の東京を舞台にした“宝探し”をすることになりました。

1.インスタレーション、あるいは体験型ゲーム

不定期にTwitterで呟かれる出没情報をヒントに神出鬼没の屋台を探し出し、その日1種類だけ提供される同じお酒をたまたま居合わせた面子で楽しむ。そして料金は飲んだ側が自由に決める…。

現代アート作家としての私はこれを体験型のインスタレーションとして捉え、ゲーム好きとしての私はミッションクリア系のゲームを現実世界で体験できる機会と捉えました。多分そのどちらも(そして勿論その他の捉え方も)正解であり、マスター神条さんによる無二の作品であることには変わりないと思います。

2.神田散策

直近1週間は神田~秋葉原間の昌平橋付近に出没していたことから、当日もその周辺に現れるのでは、という当たりを付け、アート教室仲間のE氏と神田駅に18:30頃集合。お互いの翌日の予定を踏まえた(笑)神田出発時限が24:00、屋台出没情報の公開が通例23:00頃…なので、“30分以内に屋台バーを見つけ、30分程楽しむ”というタイムアタック的な要素も追加され、楽しみが増します。


偶然神田はE氏の学生時代の思い出の街だったそうで、23:00まではコスパのかなり良い居酒屋を数件ハシゴしつつ、「おもひでぽろぽろ(1991)」の亡霊になった気分で雨の街を楽しく散策。
そしていよいよ23:00となり、居酒屋を出て本格的な捜索へ。

3.発見

居酒屋を出た後、まずは「昌平橋」付近に行ってみましたが…姿がない(笑)Twitterのフィードをひたすらリフレッシュしながら当てもなく彷徨っていると、遂に今日の情報が!


タイムリミットが近付く中、「JRの高架下」を秋葉原方面から片っ端に捜索。ブレードランナー感溢れる町並み。雨。走る私達。そして探し回ること約30分、ついに白い屋台らしきものが…!テンションは否応なしに高まります。

4.スタンド

発見の喜びのままに小走りに屋台に近付くと、そこは異空間。
先客は常連さんらしきお姉様1人。私達の妙なテンションが浮いてしまう程、独特な時間が流れています。「今日はカルバドスしかありませんが宜しければ…」この言葉を契機に私達を含めたその空間はマスターの作品の一部になります。まるで念能力やスタンドのように。そう、ここはスタンドバーであり、バーというスタンド。


外の寒さも相まってカルバドスが非常に美味しい。マスターや常連のお姉様曰く、屋台のロケーションによって客層含めた全ての雰囲気が変わり、そこでなされる一期一会の会話や空気がまた魅力なのだそう。周囲の風景は移ろうのに私達と屋台はそこから切り取られたように時空を浮遊する。もしかしたら、一連の宝探しは夢だったのかもしれないとさえ思えてきます。
そしてこれらの感覚は何処かで味わったことがあるものだと思い至ります。
そう、この体験には私の好きな映画「Dr.パルナサスの鏡(2009)」的な要素があるのです。

ベガ(バカラ)にカルバドスが映える。
またお邪魔します。

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