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十四/レージフリーク

 アリーナの周囲には長蛇の列が出来ていた。 <ウーマンズ・コレクション> の華やかな看板が、正面ゲートで女性たちを出迎えている。
「当日券も完売らしいですよ。例年よりゴスロリの観客が多いみたいで、エターナル・ブラックのメジャー初出演っていうのも影響力があるんですね」
 <ヴェキオ・カステロ> の衣装室では最終チェックを終えた響が全身鏡の前に立っていた。その横でひたすら得意満面に解説する淳。アンサンブルたちも入り、開演を間近に緊張感が漂っていた。
「響さん、身体絞って正解ですね。色気があっていいですよ」
 淳は我が事のように弾むとデジカメで一枚写真を撮った。
「こう言っちゃなんですけど」響だけに聞こえるように、そっと耳打ちする。
「響さんとエターナル・ブラックのコラボが、今回の最大の目玉です!」

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3,318字
オリジナルBL小説です。全30章。完結済み。 18禁につき、ちょっと過激な描写もあります。

天才ボーカリスト高階麗次の愁いに魅かれたモデルの響。 しかし、初対面でいきなり敵意を向けられてしまう。 彼は繊細な外見とは裏腹に予想外の「…

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