見出し画像

キャリアアップのためのスキルアップ【キャリア座談会#2】

【キャリア座談会とは】
知財業界におけるキャリアの話題を、カジュアルな座談会形式でお届けする動画シリーズです。

【メインパーソナリティ】
(株)知財塾 運営メンバー
上池睦サイボウズ(株) 知財担当
湯浅竜 / IPTech特許業務法人 副所長兼COO
三島善太LEGAL JOB BOARD 知財専門キャリアアドバイザー
この記事は、2020年8月26日に動画配信した内容を元に作成しています。動画版はこちら↓

オープニング


上池(以下K):では、キャリア座談会第2回目、始めたいと思います。


湯浅(以下Y):よろしくお願いします!


K:今回のテーマはキャリアアップのためのスキルアップということで、キャリアを上げていくにはどういったスキルを身につけていくと良いのか、というところをお話ししていきたいと思います。


Y:はーい。三島さんはいろんな特許事務所の採用面接同席したりされているので、何のスキルを求められるかって割ともう明確じゃないですか?


三島(以下M):そうですね。王道の話だと明細書が書けることとか。


Y:うんうん。


M:国内の明細書書けて、あまり指導しないでどんどん件数こなせるっていう感じだと年収が上がるケースもあったりしますね。


Y:まあそうですよね。ただ、なんていうのかな。実際、明細書を書けても、人間性に問題があったり、クライアントフェイシングが全くできないとかになると、トラブルの元になったりとか、事務所の雰囲気を悪くするとか、中小規模の事務所だと、結構致命的だと思うんですよね。

画像3

採用側が「明細書作成スキル」を偏重してる説


Y:明細書作成するスキルって、教育体制とかである程度リカバーもできるわけじゃないですか。だからむしろ入所してからも変えられないようなものをきっちりと見るべきですよね。入社してからリカバーできて、しかも日常の仕事の仕組みの中で本来的に成長する部分である「明細書作成スキル」に振り切りすぎてる業界構造って謎だなーって言う気はしてるんですよね。


M:うんうん。


Y:まず、採用をする側の問題としては、明細書明細書言い過ぎなんじゃないかな、てのは思います。自分たちの事務所では教育する体制がないけど、短期的には目の前に案件があるから捌いて売上つけたい。でもそれって長期的な組織の成長に本当に意味あることなんですか?というところは、事務所側は考えた方がいいんじゃないかな、と事務所経営している立場としてはすごい思いますね。

画像4

応募者側がアピールすべきポイントとは


Y:逆に、応募する側はそこ(明細書作成スキル)がウケるってわかっているんだから、履歴書にわかりやすく書くっていうのは最重要ですよね。よくうちにも応募が来ますけど、明細書の作成件数を書いてる人がいればまぁまだマシかな、というところで、当然書いてない人もいます

そして、もうちょっと踏み込むべきは、単なる件数だけじゃなくて、1ヶ月に何件書けるかとかが大事なわけじゃないですか。例えば、自分の出力としてはこのくらいですとか、自分の技術分野はこれだから、この分野は先輩のチェックなしに書いてますとか、そういう具体的なプレゼンをしてくれば書類なんて当然通るし、人間性とかビジネス的なセンスみたいなものの評価にもつながりますよね。

あるいは、その特許事務所が代理しているクライアントとかをJ-PlatPatで調べておいて、例えば「コンペティターの方はやったことあります」とか、そういうのを一言添えるだけで、「うちの事務所の特性を勉強して来てるんだな」というのが伝わりますよね。そこでアピールできるものがないんだったら、スキルアップが必要になってくるわけですけど。

画像2

実務スキルよりも大事なこと


M:いわゆる企業研究って大事だと思うんですけど、新卒で会社に入る時には皆さんしっかりやってたと思うんですよ。でも転職になると、企業研究をしてない方も結構います。


Y:なるほどね。新卒の時はやるが、転職になるとやらないんだね。


M:そうなんですよ。やっぱり年収とかやってる仕事とかを最初に見ちゃう傾向があると思います。自分が入った時にどんな感じになるのかな、と想像はするんですけど、あんまり具体的な研究までをして臨むという人はちょっと少なくなっているような気はしますね、転職の方は。


Y:そういうのって三島さんはアドバイスしないんですか?


M:しますします。履歴書、職務経歴書の書き方で、今湯浅さんが言っていたようなことを言ったりしますね。


Y:知財は情報材なわけですから、それを使い倒すっていうことが大事で、さらに一番大事なのは、内容が合ってるかどうかじゃないんですよ。事前に調べた行動そのものがアピールポイントになっているので、外しててもいいんですよね。

僕は前職ドワンゴっていう会社だったんですけど、採用側で面接する時にも全くそう思っていました。面接で「御社は外国出願するんですか?」とか聞かれる時点で、もう不採用ですよね。「あ、うちに興味なくて調べてもいないんだな」と。

逆に「外国出願の状況調べたけれども検索でヒットしなくて、それってこういうことですか?」みたいなディスカッションしてくる人もいるわけで。たとえ検索ロジックが間違っていてヒットしなかったのだとしても、そこはもう全く気にしてない。そういう自発的に動く人がチームに入ってくれたら、会社のことを考えて積極的に動いてくれるだろうな、と想像できて好印象です。

今話していて思ったのは、転職ていう観点だと、キャリアアップのためのスキルアップって、スキルアップそのものよりも、本当に転職時にやるべきことをやれるスキルがまず身に付いているか、ということかな。


K:実務スキルというより、転職活動スキルがまず大事


Y:そうそう。ビジネスマンとしてもっと身に付けた方がいいし、逆に周りがあんまり身に付けてない可能性があるから、ちょっとやるだけで「すごい人が来た!」っていう話になるかもしれないですね。転職だけで考えたら、実務スキルより、プレゼンスキルとかそっちの方かもしれないですね。

画像3

年収だけ上げたいのなら、他にも方法はある


M:転職活動時に、なぜ企業研究が疎かになるのかを考えていたんですが…転職を考える時って、何かしらの不満やきっかけがあると思うんです。


Y:年収のこととか、生活がちょっと変わったとか。


M:そうですね。よくあるのは、この事務所にいてもこれ以上年収が上がらない可能性があるとか、どう頑張ってもこれ以上のポストに上がることができないとか。それが先にあるから、年収を上げるために転職をするって考えになって、それで求人を見る時やっぱり年収ばかり見ちゃうのかなと。対策の部分を考える前に「まずは書類選考を出してみないとわからない」と、どんどん応募される方もいらっしゃるんですけど、対策しないで応募した結果、結局何度も落ちちゃうってことはあったりします。


Y:なるほどね。まぁ年収を上げたいって言うんだったら、副業をやるのが一番良いと思いますけどね(笑)


K・M:ははは(笑)


Y:年収上げたいっていうのが究極の目的なのであれば。方法はいくつかあるわけじゃないですか。財テクするとか、副業やるとか、純粋に昇給制度に真っ向から勝負するとか、年収の高い事務所に転職するとか、いくつかあると思うんですけど、副業はたぶん一番裏切らない。確実に上がるっていう。

画像6

特許事務所の副業事情


M:この業界、僕の思う限りでは、副業させてもらえる事務所がまだまだ少ないのかなって結構思っています。大手の事務所とか特に、NG な所多いですね。


Y:へえ〜。サイボウズの上池さんはどう思いますか?それこそ「副業万歳!」みたいな会社ですよね。


K:サイボウズの方針としても、優秀な人だったら副業でも入って欲しいっていうのと、今既ににいる社員の人が他に何かやりたいってなった時に、辞められるよりは副業として残ってくれてるほうが良い、って言う。


Y:本当そう思います。逆に何で副業禁止にするんですかね?


K:事務的なところで言うと、税金周りとか。あと雇用がダブったりすると管理が必要だったりするので。体制がないと簡単にできないっていうのは、まぁあるかもしれないです。


Y:サイボウズはまだしも、特許事務所なんて完全に労働集約型産業なんですよ。ということは、人材の採用は仕入れそのものであって、クオリティの担保そのものであって、死活問題なわけですよね。本当に優秀な人が1人入るだけで、事務所が変わるわけじゃないですか。

M:そうですね。


Y:なのでその大目的があると考えると、税金の問題とか保険の問題は全て解決可能な課題なので、そこだけで言うとちょっとやっぱサボっているんじゃないのかな、とか思っちゃいますけどね、経営を。


K:「在宅勤務にすると何やってるかわからないから、監視したい」みたいな思想と同じだと思うんですよね。


Y:もうその話はやめよう…(苦笑)


M・K:(笑)


Y:レベルが低すぎて。いまだにまだ議論している人がいるけど、もううんざり(笑)四の五の言う前にやってみればいいじゃん!と思いますけどね。

…そろそろまとめに入りますか。三島さんまとめをお願いします


M:えぇー!!マジすか!(突然の無茶振りに動揺する三島さん)

画像6

まとめ


M:そうですね…。その人の力が発揮できて、人間的に相性が合う職場が絶対にあると思うので、そこをちゃんと見極めて転職活動するのが良いと思います。なので、やっぱり企業研究が大事ですね。書類選考の段階から、事務所や企業をの下調べといった準備をしっかりした上で進めていくと、良いキャリアアップができるんじゃないかな、と思っております。

K:ありがとうございます。

Y:ちょっと普通だなぁ(笑)


M・K:ははは(笑)


Y:あれ?前に飲んでる時もっと踏み込んだ話してたんだよなー。まだ vol. 2くらいじゃエンジンつかないすか?(笑)


M:いやぁ、そんなことないんですけどね(汗)

Y:冗談です(笑)


K:(笑)じゃあ、第2回目キャリア座談会、これで終了したいと思います。ありがとうございました!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
キャリア座談会は現在第11回目までYouTubeで公開されており、今後も更新予定です。3回目以降に興味がある方は、是非ご視聴ください!
よかったら、チャンネル登録もお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?