見出し画像

修羅inドイツ

いつも怒ってる千由です、こんにちは。
いやぁ、ほんと難しいアンガーコントロール。

今日は、ドイツでキレ散らかした話をします(前回もキレとったやないかい)

あれは、19年前のことじゃった(突然の日本昔話)結婚して、ドイツに渡った私。ドイツ語能力ゼロなのに、これから子供を産まねばならぬ。まずは、病院選びからだった。そこはスイスの国境近く、そこいらでただ1人の日本人の私。近所の人に、日本人に初めて会ったと言う人がいるぐらいの片田舎だった。何もわからないので、夫が病院を選んだ。ライン川のほとりにある昔の石の建物を改築した病院。担当医は女性だった。

日本の病院は、体重管理やなんかとても厳しいらしいが、ドイツでは全くそんな説教はなく、状態が良ければなんでもありのめちゃくちゃ自由な感じで、日本の窮屈さが大嫌いな私には、その緩さがちょうど良かった。もしも夜中に産気づいたら、慣れている食べ物だけ持ってきた方がいいよ、夜中にきてもパッサパサのパンしかないからという謎アドバイスをもらっていたので、夜中におしるし(多少の出血)があった私が最初にやったことは、米を炊き、おにぎりを握ることだった。これは大正解であった。出産時会陰切開(アソコをザックリ切るんだよ)した私は、出産後、まるで痔持ちの人のように椅子に座ることが出来なかったのだが、そんな時、おにぎりは寝転んだまま食せて私の空腹に大いに役立った。ビバ!おにぎり!!

5日後に退院。家に帰ってしばらくすると、膀胱炎の症状が現れた。経験していたので間違いはない。出産した病院に行き伝えると、尿検査の後、これは膀胱炎ではないとの診断を下された。いくら訴えても取り合ってもらえない。その日は帰宅したが、そのあとに地獄が待っていた。数日後に40度近い熱を出し、寝込んだ。同じ病院をまた訪ねる。担当医は休みだったので違う先生が診た。尿検査もやったが、何かわからないと言う。そして帰宅。発熱から3日目、ベルリンにいた義母がやってきた。高熱に加え食べ物を胃に入れたらすぐに嘔吐する私を見て、これは普通じゃない救急車をということで、千由初の救急車デビュー!日本でも乗っことないのに。救急隊に、出産した病院をオススメされたが、絶対に嫌!と言って別の病院へ搬送してもらった。着いたらすぐ検査。検査結果は、膀胱炎からの腎盂炎だった。

出産後は、膀胱炎に罹りやすい。これはド素人でも知っている事。元の病院が、発見できない方がおかしい。救急を受けてくれた病院の先生も頭を傾げていた。抗生剤を点滴で入れまくる。手の甲に入っていたので、動くと痛い。息子も共に入院して、私は点滴と授乳を交互に繰り返し、ヘトヘトになった。熱が38.5度を超えていると、乳を飲んだ赤ちゃんにも良くないと言われた。いや3日やったで、母乳ぅー。幸いに息子には異常見られず、それだけは良かった。

10日間抗生剤を入れ続けて、ようやく回復した。体調が良くなってくると、元の病院への憎悪が湧いてきた。出産後よくある病を、1度ならず2度までも見逃すとは、医療事故ではないか。退院後、夫に抗議のメールを書かせた。日本なら間違いなく訴訟に持ち込んでいたが、なにぶんドイツ致し方ない。すると、元の病院の院長から、病院に来てくれないかと連絡があった。

なんで呼び出すねん、お前が来いやと思ったが、100歩引いて病院を訪ねた。

すみませんでしたと謝るのかと思ったら、流石謝らない国ドイツ。問診のようなものが始まった。

は?

あんたカルテあるんやろ?呼びつけておいて、カルテにも目を通してないわけ?どうなってんの?カルテ読みなさいよ、カルテ!!

これは、心の声ではない。本当に院長に向かって言った言葉だ。相手は英語を話すドイツ人だったため、矢継ぎ早に、舐めとんのかワーレー的なことをバンバンぶつける。夫は何してたの?って、横にいたわよ、ほぼ黙って。私の勢いが凄すぎて、割って入れなかったて言うてたけど、

役にたたねぇ!!

とりあえず、2度も見逃すなんてあり得ないんじゃないですか?あなた自分の妻が同じことになったらどうします?熱がある状態で息子に母乳を飲ます危険性を話さなかったのは何故?産後にありがちな病気なのに発見できないとかありますか?機関銃のように怒りをぶつけたら、その院長なんて言うたと思う?

「そんなに興奮するなら話し合いできないので、お帰りください」

やってよーぉぉぉー。
ぶざけるな!呼びつけたのはあんただろ?40度の熱出して、命の危険もあったのに、冷静にってアホかボケェェェー。しかも私のみならず、息子まで危険に晒しやがって、冷静にと言うほうが、どうかしとるやろーっ。あんた同じことになっても冷静でおれるんか?あぁぁん?こんな対応されると知ってたら来なかったわ。何のために呼んだんよ?どういうつもりなん?しかもあんた一回も謝ってへんよね?

もちろん、これも心の声ではない。怒り倒してキレ散らかして帰った。あの時、訴訟に持ち込まなかったことを、今でも悔しく思う。

輪を重んじる大人しい日本人がキレ散らかしているのを見て、院長は「なんか、思てた日本人と違う」と思ったのに違いない。


近付くな、キケンの意味を
見せたろか
(千由心の川柳)


※イラストお借りしました。t0m0y0さん、毎回お世話になります。ありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?