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分魂輪廻(ぶんこんりんね)

「なんかさ、似てたんだ。」
『誰に?』
「隣の檻に繋がれてたやつ。」
『ふぅん…』

「ちょっと好きだった。そいつの事。」
『へぇ……。顔も見たことないのに?』
「話はしてた。他に話し相手なんて居なかったし。」
『話してただけで好きになったんだ? ふぅん……』
「手も触れた事ある。繋いで眠ったこともある。」
『姿に似合わず、ロマンチストなのね。』

*

「……………俺は、檻から出られたよ。」
『うん。』
「…………お前は……死んだんだな……。」
『……うん。……とっくの昔にね。』
「会いたかったな。顔をじっくり見てみたかった。」
『ふふ。とっても不細工だったかもよ?』
「いいよ。俺だって化け物なんだし。……あ、逆に俺の方がガッカリされてた可能性もあるのか!?」
『あはは!大丈夫よ!手に触れたとき、普通の姿の者ではないってわかったもの。』
「そっか………。」
『うん。』

「新しく、好きな人が出来たよ。」
『うん。』
「雰囲気似てたから惹かれた。…そのままぞっこんになった。……顔がお前に似てるかはわからない。」
『ふふ。』
「……なんで笑うんだよ。」
『うふふ。』
「むぅ………。」
『ねえ、キスして。』
「え?なんで?」
『"ちょっと好きだった"んでしょ?いいじゃない。この私とはお別れ、サヨウナラって意味で。ね!いいでしょ??』
「……うーん…。」
『ね……、キスしてくれたらわかるよ。………お願い。私を………本当の意味で蘇らせて………』







作・画:千世と黒クニ


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