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パンが好きだ!

私のパン好きは今に始まったことではない。物心ついた頃、祖母、母と共にパン屋に行ってパンを選んだあの頃からパンを好きになることは運命的に決まっていたのだろう。

パン屋の入口。トレイとトングを手に取るときの高揚感は今も昔も変わらない。棚に目を向けると個性豊かなパンたちが行儀よく並んでいる。どのパンも「私を選んで!」と呼びかけてきているようで即決できない。結果、パン屋の中をぐるぐると一周も二周もしてしまう。だけど、その逡巡さえも嫌いではない。むしろ何周だって受けて立ちたい。

私と母の食の好みはほぼイコールだった。つまり、私の母もパンが大好きだった。高校生の頃からだろうか。母と私は二人のときによく「パンパーティー」をした。パンパーティー。それは食事としてパンを沢山食べる素晴らしき日のことを指す。

一人でパンを購入するとしよう。欲張ってパンを選んでも食べられるのはせいぜい4つ程度。だけどもし、その欲張りが二人になればどうだろう。お互いが好きなパンを4つずつ選び、どれもはんぶんこして食べる。すると食べられるパンの種類はなんと8つにまで増える。なんという幸せ。なんという贅沢。

テスト期間は部活動もなかったため、午前中に3科目だけテストを受けて、家に帰ってパンパーティーをする。そんな日が多かった。嫌なテスト期間だってパンパーティーが待っていると思えば乗り切れる。テスト期間、最高。

また、実家にいるときは母がホームベーカリーを駆使してパンを焼いてくれたこともあった。焼いてくれるのはシンプルな「食パン」が多かったと記憶している。ホームベーカリーで作った食パンはスーパーやパン屋で購入する食パンでは決して味わうことのできない素朴さがあった。噛めば噛むほど甘みが口の中に広がっていく。そんな“味がある”手作りパンも大好きだった。

私自らパン作りに手を出したのは今年に入ってから。2年ほど前から週末にお菓子作りをするようになったのだがどうしてパンへ行き着いたのか。

きっかけはシュークリームだった。

レシピによるとシュー皮に“強力粉”が必要だった。使用量はたった15g。しかしスーパーに売っていた強力粉の最小単位は1kg。大量に余った強力粉を消費するため、いつも使っている料理アプリの検索ワードに“強力粉”を打ち込んだのが始まりだった。

すると出てくる出てくるパンのレシピ。だがしかし、パンは「発酵が難しい」と母から何度も聞いていた。ホームベーカリーは材料を入れるだけで捏ねも発酵もすべて自動で行ってくれるからパン作りへのハードルは格段に低くなるけれど、私の家にホームベーカリーはない。ということでパン作りは断念し、最初は強力粉を使ったスコーンを作っていた。しかし検索欄に“強力粉”を打ち込むたびに美味しそうなパンの画像が目に飛び込んでくる……。

2-3個のアプリを使ってレシピ検索をしていたある日、私の目に止まったのが「発酵なし」という単語。発酵なしでパンなんて作れるのだろうか……? 疑問をいだきながらもレシピを開いてみると強力粉+ホットケーキミックスを使ったレシピだった。材料等も確認すると新たに買い足さなければならないのはドライイースト位だった。思い切ってチャレンジしてみようか。それがパンづくりへの第一歩だった。

最初に作ったのはベーグル。
半分はホットケーキミックスでできているから味にそこまで期待をしていなかったのだけれど焼き上がりは想像以上にベーグルだった。次の日以降、日が経つにつれて固くなっていってしまい残念だったけれど、またパンを作りたいな、と思える美味しさだった。

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ベーグルを作った後、我が家のオーブンレンジにも発酵機能がついていることに気がついた。パン好きならオーブンレンジを購入したときに把握しとけよ、というところなのだが、当時はケーキを焼くことしか頭になかったため、全く知らなかった。取扱説明書を引っ張り出し、念入りに使用方法を確認する。パン作りの幅が広がった瞬間だった。

以後、時間をみつけてレシピを漁り始めたのが春を少し過ぎた頃。

次に作ったパンは紅茶とホワイトチョコレートのベーグル。
発酵機能を使用して作ったベーグルは第一回目のものよりももっちり感が増し、日が経っても温め直せば焼き立ての美味しさに限りなく近づくことができる代物に仕上がった。

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強力粉はまだあったため、ドライイーストを買い足し、先日はミルクパンのパヴェ、今日は大好きなくるみパンにチャレンジした。

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※(↑)綺麗な四角い形をしていないところはご愛嬌、ということで。

くるみパンは膨らみが微妙に足りなかった気がする。生地を捏ねても捏ねてもベタベタしたままで手について、諦めて発酵させた結果だと思う。後で調べたところ、粉と水分系の材料を混ぜ合わせる際に、水分系の温度が低いとベタついたままになるとのことだった。今日は暑かったし、レシピに“水を人肌程度に温めると”との指示もなかったため飛ばしてしまった。あれがいけなかったのだろう。だけど学んだ。次からは気をつける。

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パン作りの難点としては時間がかかること。材料計量~焼き上がりまで3時間程かかる。一次発酵で45分、二次発酵で30分要するから仕方がないのだけれど。パン屋さんが朝早くから仕込みをする理由がよくよくわかった。

それでもまたパンを作りたいと思うのはオーブンから漂ってくるあの香りが忘れられないから。小さい生地が発酵を繰り返すごとに膨れ、焼成後は可愛い顔で私の目の前に現れるあの瞬間の幸福と香り。手間暇をかけて育てた生地がきちんとものになる感動。両手でパンを割ったときのふわっ。どこをとっても達成感がある。もちろん、お菓子作りも楽しいのだけれど、また新たな楽しみを見つけたような感覚だ。

このパンを作りたい欲がいつまで続くかはわからない。パン屋さんで購入したほうが美味しいし楽なのは間違いない。だけどパン作りは2021年にはまった趣味の一つ。塩パン、フォカッチャ、クロワッサン、白パンなど作ってみたいパンはまだ沢山ある。焦らず、時間があるときにゆっくりと、新しい”趣味”を大切にしたい。

いただいたサポートを糧に、更に大きくなれるよう日々精進いたします(*^^*)