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団子と猫のミステリー 下


1分小説
この物語は2章構成になっています!

第二章:猫の正体

翌朝、一郎は再び警察に連絡し、昨夜の出来事を詳しく伝えた。警察も猫の行動に興味を示し、調査を進めることにした。だが、その夜も同じように団子が消えた。

三日目の夜、一郎は町の探偵、黒田を招いて見張りを強化することにした。黒田は冷静に店内を観察し、猫の行動を分析することにした。

真夜中、再び黒猫が現れ、同じように団子を咥えて逃げ出した。黒田はすぐに後を追い、細い路地裏へと猫を追い詰めた。

路地の奥に進むと、黒猫は古びた家の中に消えていった。黒田と一郎がその家に入ると、そこには驚くべき光景が広がっていた。家の中には無数の団子が積まれ、猫たちがそれを囲んでいたのだ。

「一体これは…?」一郎は呆然と立ち尽くした。

その時、家の奥から一人の老人が現れた。「やあ、君たちが団子の持ち主かい?」

黒田が冷静に尋ねた。「あなたは一体誰ですか?そして、これらの団子は何ですか?」

老人は静かに笑って答えた。「私はこの町に長く住んでいる者だよ。この猫たちは私の友達で、彼らと一緒に団子を楽しむのが私の楽しみなんだ」

一郎は驚きつつも尋ねた。「でも、どうして団子を盗む必要があるんですか?」

老人はため息をつきながら言った。「私が作る団子よりも、君の団子の方が美味しいんだ。だから、猫たちが自然と君の店に向かうようになったんだよ」

黒田は少し考え込んだ後、提案をした。「それなら、毎日少しずつ団子を届けることで、この問題を解決できるのではないでしょうか?」

一郎は頷き、「そうですね。それなら皆が幸せになれるかもしれません」と答えた。

こうして、一郎は毎日少しずつ団子を老人の家に届けることにし、猫たちも再び団子を盗むことはなくなった。町は再び平和を取り戻し、「みたらし庵」はますます繁盛した。

この奇妙な事件は町の人々の間で語り継がれ、「団子と猫のミステリー」として知られることとなったのだった。

終わり


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