見出し画像

SNSをめぐる親子間トラブルは親がSNSをよく知ることで回避できる可能性が高い

先日静岡県牧之原市で13歳の娘が母親を刺殺する悲劇が起きた。

報道によれば、娘がやっていたSNSの利用をめぐって親子間でトラブルになり、激高した娘が就寝中の母親を何ヶ所も刺して殺したらしい。

その報道だけでは親子の間にどんなトラブルが起こったかを正確に知ることは不可能だ。

ただ、一連の報道から推測するに、母親が娘のSNS利用に不安を抱いて頭ごなしに娘を叱り、SNSの利用に強い制限をかけたと思われる。これはネット廃人歴30年の私の直感だが、たぶんその直感は大きく外れていないと思う。

それを前提に話をすれば、頭ごなしに娘のSNSの使い方を咎めることや娘の合意なしに強い制限をかける行為は親として一番やってはいけない悪手だ。

仮に母親自身がSNSを含むネットをよく利用しており、そのメリットやリスクについてよく知っていれば、おそらくそのような悪手は使わなかっただろう。そして手塩にかけて育ててきた娘に殺される悲劇も避けられたと思う。

私の身内にも子どものSNSの使い方をめぐって親子間でトラブルになっているケースがあり、私は数年にわたって親から相談を受けている。私が30年来のネット廃人かつSNS廃人歴10年超であることを見込まれてのことだ。

その相談に乗るにあたって、私は親子双方に以下の働き掛けをを行っている。

【子どもへの働き掛け】
・SNSの安全な使い方やSNSでやるとリスクが大きい行為について丁寧に説明して理解してもらう
・本人の合意を得てから子どものアカウントをフォローし、問題がある投稿がある場合は本人に直接連絡して適切な対処法を教える

親への働き掛け
・子どもが利用するSNSを親も利用するようにすすめる
・親自身がSNSのアカウントを作って運用することを求める
※自分で運用するとSNSのメリット・デメリットを体感的に理解できるから
・可能なら子どもの合意を得て親子で相互フォローの関係になってもらう
・子どものSNSに問題があっても頭ごなしに叱らず冷静に対処してもらう
・対処が難しい場合は私などSNSに詳しい大人に相談するように求める

もちろん以上の対処法だけで全ての問題が解決するわけではない。

しかし、親や身近な大人がSNSを実際に使い、そのメリット・デメリットについて理解していれば、SNSの利用で直面しうるリスクを回避しやすい。

また、親がSNSへの理解を深めることで必要以上にSNSを恐れなくなり、子どもがトラブルを回避しながら上手にSNSを利用するための手助けも可能となる。これは私自身が自らの子育て中に経験したことだからほぼ断言できる。

SNSをめぐる親子間トラブルの多くは、子どもがSNSの利用で深刻なトラブルに遭い、身の危険にさらされることへの強い不安を親が抱くことから始まる。また、親自身がSNSの実態について無知だとその不安をいたずらに増大させ、子どもに過剰な対応をしてしまう可能性が高くなる。

牧之原市の事件もそれが一つの大きな原因になって起こったのは間違いないだろう。

そのような過剰な反応をせずに子どもをSNSのトラブルから守りたければ、親自身もSNSの世界に入ってその実態を知るのが一番だと私は思う。

それによって

・SNSの何が問題か
・子どものSNSの使い方のどこに問題があるか

がピンポイントで見えてくるからだ。その点について対策を講じれば、子どもがSNSの利用で大きなトラブルに巻き込まれる事態を回避しやすくなる。

逆に言えば、親がSNSに無知であるほど対処が遅れ、子どもが大きなSNSトラブルに巻き込まれるリスクが高くなる。

そのような事態を招かないためにも、親には子どもが利用しているSNSのマイアカウントを作り、実際に運用して何が問題なのかを知ってほしいと私は思う。

また、インターネットやSNSのトラブルに詳しい相談相手を見つけ、折に触れてその人に相談できる状態にしておくことも強くお勧めしたい。

身内でSNSトラブルに詳しい人がいればその人に、そのような人が身内にいなければ公的機関などの相談窓口に相談するのがおすすめだ。

以下にそのリンクを張っておきます。これらの情報をぜひ親子で共有し、いざという場合に備えてください。

最寄りの警察署や都道府県警察 本部のサイバー犯罪相談窓口


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?