大切に育てられたお野菜たち。

節約をしなさいと怒られたので、自炊をすることにした。
大学の食堂で食べていたけれど、そろそろカラダが疲れてきたのもある。

大学の傍で採れたお野菜を買った。
小松菜、ほうれん草、じゃがいも、玉ねぎ。

久しぶりの自炊なので、シンプルに野菜炒めを作った。
味つけは、塩とお醤油、そして、鰹節と煮干しの粉末。自分が持っているものの中で料理を作る。

自分が持っているものの中で生活をすること、あるいは仕事や学業で勝負をする知恵はとても大事だと、さいきんになって思う。

「千登世ちゃんのごはんが食べたい」
「優しくてほっとする味」

と、アメリカにいたお友達が言ってくれたのを思い出す。
私のお料理が優しい味なのは、お野菜が大切に育てられているからだ。

友だちに振る舞ったお料理は、秋田の五城目の朝市で買ってきたお野菜たちだった。どのお野菜をとっても優しくて美味しい味わいだった。だから、私は調味料に頼らず、それらを組み合わせて、それぞれの良さを大切にひとつのお料理を作り上げただけであった。

これは、チームワークにも言える。
先日、面接で「チームワークに大切なことは」と問われた。

私は迷わずこたえた。
「チーム一人ひとりの素敵なところを活かす。」
「そして、、、えーっと何が欠点で何が弱みかというのはなかなか決定しづらいのですが、もし、誰かに弱みがあるのだとすれば、それを誰か違う人が補う。あるいは、むしろ弱みを強みに活かすように考える。」

「そうれば、、、(えーっと最高のパフォーマンスが出るかはわからないなぁ・・・)いい成果が生まれると、私は思います。」

綺麗事で世の中が済まないことはわかっているけれど、一人ひとりを大切にしたい、少なくとも努力はしたい―と私は思うからだ。

お野菜に鼻を近づけると、優しいかおりがした。
『これは美味しいぞ』と思った。

野菜を切っている途中で、カタツムリが出てきて大変驚いた。
『共存』と思い、その子を指先でつかみ、台所の脇にちょこんと移動してもらった。

虫を排除しないお野菜の育て方に心が動いた。

大事に、そして相変わらず雑に(笑)野菜を炒めていく。
胡椒や薄口しょう油が欲しいと思ったけれど、お塩だけでも十分美味しかった。

それは、お野菜自体がとても美味しいからだと私は了解した。

お米は『あきたこまち』
シンガポールの機械を使ったので水加減がわからず、柔らかくなりすぎた。

でも、とても美味しかった。
このお米を北秋田のキャンプ場で子どもたちと食べて感動したのを思い出した。

このお米は高くない。むしろ、安い。
でも、大切に作られたことが伝わる優しい味。
からだの力をほっと抜けるような、あったかい味。

秋田のお野菜におこめを一緒にいただく。
納豆という飾りつけなんていらなかった。

久しぶりにからだが喜んだ。
緑のなかで汗を流しながら毎日大切にお野菜やおこめを育てている農家の方々が目の裏に映った。

あまりに美味しくて、涙が出てしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?