最近のエンタメは「人間さんをハックする」系が多い気がする

こんばんは。千歳ゆうりです。

最近の番組で言うと「所さん、事件ですよ!」とか、「あさイチ」とかでも推し活特集が行われているのだけれど、それを見るたびに思うのが、
最近のエンタメは「人間さんってこういう習性あるよね」をハックする系のものが多いよなあ、ということである。なんというか、ギャンブルに代表される射倖心を煽る系とソシャゲのガチャの相似の話をしても良いんだが、ことはそんなに単純じゃない、と私は思う。

お金は怖い、というと、みんなわかってくれるはずだ。SNSは怖い、も最近は浸透してきた感覚だろうか。それらがどう怖いのか、きちんと明文化しておきたい。それが、私たちのためであると思うから。
なぜお金が怖いのか。それは、数値化できない魅力や楽しさといった感情を、数値化された利益にしてしまえる点だと思う。要は、いつも奢られてばっかりの相手のことは、「私はこの人と一緒にいるのが好きだったんだっけ?それとも、いつも奢ってくれるからこの人が好きなんだっけ?」がわからなくなる、という怖さである。
少し暴論ではあるが、このお金を承認欲求に変えてしまえば、SNSでもほとんど同じ図式が成り立つ。すなわち、「絵を描くのが好きだからファンアートを描いていたんだっけ?それとも、推しが喜んでくれるからファンアートを描いているんだっけ?」……という具合に。

報酬を期待していなかった行為に報酬がもらえるようになると結果としてやる気が削がれることをアンダーマイニング効果という。具体的な心理学の実験結果をあげ始めればキリがないが、少し露悪的に言えば、現代は、心理学その他の研究結果を無限に悪用できてしまう時代であるとも言える。もちろん、コンテンツ供給側だって食わねば生きていかれない人である。少しでも売れる、人間さんの興味をひけるものを作りたい、と思うのは当然だろう。

……というだけの話ならば、まだ簡単だ、と私は思っている。上述したものが煮詰まってくると、「より過激に、人間さんの興味を惹きつけるコンテンツ」以外のコンテンツがゆるやかに淘汰されていく、という未来も想像できる。
それが想像上の産物であればいいのだが、私にはどうにも現状片足を突っ込んでいるのではないかと思えてしまうのだ。うまく言えないが、どことなく、随所にその片鱗を感じる、と言って伝わるだろうか?それは、電車の中で顔を上げると自分以外の皆がスマホをいじっていた、というときに感じる薄ら寒さのようなもので、気にしすぎと言われれば、そんな気もしてしまう程度のものなのだけれど。

少し話が逸れるが、無償の愛は存在するか?という議論がTLで盛んになっていた。私としては、受け取り側が代価を支払わなければ無償にはなりうるだろう、としか思っていなかったのだが、それに友人が異を唱えた。「提供する側が書いていた値札を無視した、万引きは無償になるのか?」と言うのである。いやもう完全に仰る通りである。私には抜けていた視点だ。これだからスペースや作業通話で友人と議論するのはやめられない。他にも、無償=見返りを求めない、とするなら、今この状況でこの相手にはn割くらいは見返りを求める、というグラデーションが存在する、と言ってくれた人もいた。

以下は私個人の意見である、と断った上で、極端な例を出そう。
例えば、あなたが、「この愛は300円ですよ」と値札を出したとする。それに対して、誰かが狐の尻尾を揺らしながら、木の葉3枚を渡してくれたとして、あなたはもらったそれをゴミに捨てないことができるだろうか?それが狐さんにとっては300円の価値のものであったのだと、気づけるだろうか?
私は、自らが他者の機微に鈍感であることに人一倍自覚的だ。故に、自分が愛を提供する相手からの見返りを求めない。勝手に得られる自己満足だけを糧とした愛情を絶対善と掲げる私のスタンスは、ここから来ている。そんな私からすれば、「相手からの見返りを求める愛情」について、あなたが望む通りの対価が返ってくる(返ってくる上にあなたが気付ける)確率はあまりにも低い、となってしまうのだ。それはガチャと同じではないか?と個人的には思うのだが、どうなのだろう。ガチャの射倖心を煽る仕様が人間さんにはウケていることを考えれば、SNSの「推しが反応してくれるかもしれない」もある種の射倖心を煽る仕様として生き残っているのかもしれない。
余談として、これは最近気が付いたことだが、どうせわからないなら、「私が気付かないだけできっと何か(愛情)を周りの人は私にくれているんだろう!きっと!ありがとう!」と開き直って感謝を告げる方が、よほど人間さんからは愛してもらえるのではないだろうか、と思わないではない。

ここまで読んでくれてありがとう。何を言いたいんだかわからなくなってきたのでこの辺で。

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