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小さな子どもに身支度をうながす、保育園での集団の力

「グリーンヒル奥沢保育園」は世田谷区にある認可保育園です。
0歳児から5歳児までの定員は50名です。

「食べ物を口に運ぶ」「お鼻やお口を拭く」「服の脱着」「靴を履く」などの普段行う日常の作業は、0〜2歳くらいの小さな子どもにはまだまだ難しく、身の回りの全てを大人にお世話をしてもらっています。

日常の作業を自分でできるようになるには練習しないといけません。
保育園では0歳のころから様子を見て促しています。

もちろんすぐにはできませんし、保育士もできると思っていません。
ただ、チャレンジすることで「これの作業は自分でもできるんだ」ということに気が付くきっかけができますし、体の筋肉の使い方や、微細な指の力加減を練習することができます。

人間はよくできたもので、1〜2歳ごろになると「自分でやる!」と言い出して、なんでも自分の力でやりたがるようになります。
成長する力が小さな子どもの中に備わっているのだなぁと感心します。

子どもが自分でやりたがらない場合

なかなか子どもが自分でやりたがらない場合は、保育士から促します。
教え込むようなことはせず、興味があることと組み合わせるようにしています。

例えば、2歳児クラスにお鼻を自分で拭こうとしない子どもがいました。
当時、2歳児クラスで人気だったカバさんの絵本があったので、カバさんのティッシュボックスを作ってみました。

みんなカバさんのティッシュが使いたくて使いたくて、お鼻が出たらすぐにカバさんのティッシュボックスに向かうようになりました。
自分でお鼻を拭くのが苦手な子に、「カバさんのお鼻出てるから拭いてあげて」と言って、カバさんのお鼻を拭かせたり、他の子どもが自分でお鼻を拭いているところを見せたりして、子どもが自分で気が付くように促します。
すると、ゆっくりとですが、お鼻を自分でふくようになりました。

ただし、子どもの中にやらない理由がある場合は促しても応えてくれません。
例えば「保育園のティッシュは、おうちのとちがってガサガサだからイヤだ」とか、「お鼻が痛いから拭きたく無い」とか、嫌がる子どもなりの理由があることがあるのでので注意が必要です。
保育士は注意深く子どもの言動や仕草を観察しながら促す必要があります。

お家でできなくても大丈夫です

保護者の方から「保育園では自分でできるようだけれど、お家だとしてくれない」というお話しを伺うことがよくあります。

これは「集団の力」が子どもを促しているからです。
保育園ではお手本になるお兄さん・お姉さんに憧れを抱き、お友だちに負けたく無い気持ちが働いて、子どもなりに「こうありたい自分」を精一杯作ってものすごくがんばっています。

お家でしないのは家では誰にも意地を貼らずにリラックスしているから。むしろ良いことです。長い目で見守ってあげて下さい。


奥沢