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SONY イヤフォン WF-1000XM4 レビュー

使用し始めて、鳴らし込んで3日が経過し、やっと音が安定したと思うのでレビューしたい。

私は30年来、日本のスピーカー、ヘッドフォンやイヤフォンに常に物足りなさを感じていた。音のスペックと純度を追求してはいるが、音楽の味わいやライブ感、陰影、ひだのようなものをおろそかにしている気がしていた。

その最大の仇敵がソニー製であった。透明感はあるが生演奏のリアル感からは遠い。そのくせ音域端がどこか丸っこくて、うまくお化粧している気もしていた。

Bluetoohイヤフォンの時代に入り、この形態は、一切有線結線がなく、不純物がないゆえにデジタル再生の理想の形と感じ、それがスマホで実現できるというのは凄い時代になったものだと感じ、海外製をいくつか購入してきた。

値段に関係なく、納得いく製品にいくつか出会えたが、最後に残るのが憎きソニーである。

現状ではまだBluetoothイヤホンはSBCとAACコーデックにとどまるものが多く、ハイレゾ対応のLDACに対応したものは数少ない。

幸い、私は、ソニー製ではないが、しばらく前からLDAC対応のAndroidスマホに乗り換えた。


すでに他社製のLDAC対応のソニーではないヘッドフォンは所持し、大変満足していたが、ここまでくれば、LDACの本家であるソニーの製品に手を出すしか残された道はない。

スマホアプリのインストールは必須である。特にAndoroidの場合、LDACへと高音質化する設定はアプリの方でしかできない。この点で、説明書は不親切で、SONYサイトではじめて確認した。

さて、音質だが、最初はあまりに素っ気ない音かと感じた。高域もまるくおさまっており、低域にももっとゴリゴリした迫力も欲しいと。なるほど完成度はすこぶる高いが、まるで実写映画を観ようとしていたのにアニメ映画を観せられたかのような、音の「抽象性」のようなものを感じた。それはAnroidのLDACにおいて顕著だった。

しかし、何度か充電を繰り返しながら、LDACのAndroid、AACのiPhone、そして敢えて24bit、192HzにアップコンバートしたPCを、J-POPやロックからクラシックを含む同じ音源のレパートリーで行ったり来たりして使用するうちに、振動板もエージングが進んだようである。

とりあえずの結論としては、食わず嫌いにならずに良かったというに尽きる。上記の3つの方法で聴いた場合の音質差は、聴くたびごとになくなっていく。

なるほど、音色はやや明るく、陰影には乏しい気もする。しかし、低域も、音源にそういう成分が入っていればの話だが、結構押し出しの強い、迫力のある音も出す。

低域端や高域端が果てしなく伸びている印象は与えない。しかし、それは、ロスレス音源の音響特性がもともとそのようなものであるということをあからさまにしているだけのことであろう。

デジタルオーディオ、特に従来のCD規格やロスレス音源において、例えばハイハットのシンバルが、天井知らずの倍音成分や、アコースティックの生々しさがあるかのように「錯覚」させるのは、実は機器の側でうまく調整された、アナログ部分の「楽器」的性質によるものと私は考えている。

そういう意味では、ソニー的な味付けはやはりあるものの、非常に高度な完成度があるイヤホンと言わざるを得ないと思う。

あとは、ソニーの音の美学が好きか嫌いかということに過ぎないと思う。

なお、ハイレゾ音源もいくつかダウンロードして聴いてみた。

私はハイレゾ専用機は所持しておらず(追記:所有するようになった)、店頭で、有線ヘッドフォンでソニー製を何回か試聴しただけだが、「天井知らず」の感じは、専用機に劣るかもしれない。これはあくまでも私のソニー製ではないAndroidと比較した場合だが。

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