NHKEテレ、「視点・論点」、『イスラムと西欧の二十年』
同志社大学、内藤正典氏による。
10分間の短い番組だったが、非常に整理された内容だったと思う。
9.11の、ビン・ラディンらのアルカイダによるアメリカ同時多発テロをきっかけに、欧米諸国のアフガニスタン侵攻がはじまる。
これは「テロリズムとの戦争」と呼ばれ、イスラム住民への攻撃ではないとされた。
しかし、現実には多くのイスラム住民が殺された。
「テロリズムとの戦争」という概念は、弾圧の正当化となっていく。
チェニジア、エジプトなどで民主革命がおきるが、イスラムによる世直しをかかげる政党が圧勝。しかしそれらも軍部による掌握で倒される。
シリア・リビア・イエメンでは反政府勢力との激しい内戦となる。
シリアのアサドは「テロとの戦争」をかかげるが、反政府勢力の激しい反発を買い、ISの台頭となる。
シリア難民はまずはトルコ、それからギリシャ、そしてドイツへと流入する。
もともといたイスラム移民へも、テロリストでは?という懐疑がかけられるようになる。
ヨーロッパでは、反イスラム政党が台頭。
女性の服装など、イスラム教徒への規制が広まる。
これに応じて、ヨーロッパ諸国ではテロが頻発、ますます反イスラムへの機運が高まる。
アメリカのアフガニスタン撤退、タリバンによる新政府が樹立される。これにより、再びアフガニスタンから多くの難民が流出するであろう。
西欧はイスラム世界を見下してきた。
2つの文明世界には根本的な違いがあり、一方が他方を従属できるとはみなさないほうがいい。
「人権」概念そのものが違う。
タリバンは、西欧流の「民主主義」は通用しないと主張する。
内藤氏は、相手の話をきいた上で改善を求めること、「文明間の講和条約」を築くことだけが、唯一の共生の道であると訴えている。
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