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野生の動物ほど本能で生きてる

伊丹でビックリすることのひとつに、夕方、無数のコウモリが頭上を飛ぶことが挙げられる。
コウモリが飛ぶ姿を毎日ライブで見れるのだ。

我が故郷には(たぶん未だにあるだろうが)森の中に防空壕があり、中でたまにコウモリが天井からぶら下がっていることがあった。
宮崎ではコウモリは飛ぶ動物ではなくぶら下がってる動物、コウモリは決して飛びはしなかったからね。
防空壕の中に入って行くのは子供たちにとって肝試しで、コウモリのゴムのような感触の羽根をビヨ~ンと広げて防空壕から出て来ようものなら「怖いもの知らず」の最高位と「変人」のレッテルを同時に獲得出来たものである。

そんな二冠を誇った子供時代を経たものの、ハタチ過ぎればタダのヒトよ。

「ぎゃ~~~~~!ベランダにコウモリがうずくまってる…!…あ・カメラカメラ…間に合うかな…」
ガラス戸を一枚隔ててでなければ、コウモリを観察出来ない大人になっていることに驚きを隠せない。

今の今までじっとうずくまっていたコウモリは、私がダッシュでカメラを取りに階下へ降り、また駆け上がって来てかまえると、それを待っていたかのようにこちらへジワジワと近寄って来た。
「…どうしたんやろう…こっちに向かって這って来た…赤ちゃんかな?この大きさで成体かな?成体はもうちょっと大きいと思うけどなぁ…」
そんな感想を言いながら撮る。
「…羽根が濡れてんのかな?」
そう感想を口にすると、羽根を広げるコウモリ。

「…飛べないのかな?うわっ!飛んだっっ!」

私がキュー出したみたいな反応を見せるコウモリよ。


はっ!
思い出したっ!!
コレは「観察眼」の意志疎通現象である。

私は動物に猫っかわいがりの愛情を注ぐタイプではない。
そういった可愛がり方はしないが、正々堂々と観察はする。
「観察するぞ!」という意気込みで野生の動物を観察すると、その意気込みを動物が察知するのをご存知だろうか。

知り合いに動物カメラマンがいたら是非、確認してほしい。
野生動物は本能で「ただ見ているだけ」の人間と「じっくり見ている」人間を見分けるのだ。

野生の動物は本能的に「本気」を察知することが出来るんである。
野生の動物ほど人間の心根を嗅ぎ取る。
そしてそれが動物にとって望ましい要求なら、動物はこちらが意図するように反応してくれる。

これが「観察眼」の意志疎通現象である、勿論、勝手にそう呼んでるだけやけど。

野生動物が人間の意図するように反応するのは「本能の察知」だから人間側にも本能がなきゃいけない。
文明に慣れた自分にどれほどの本能が残っているかが確認できるので、野生動物に出会ったら「観察するぞ!」という意気込みで「じっくり見てみる」といい。
野生動物が立ち止まったりアナタに反応するようなそぶりを見せたら、アナタには本能が残っているということだ。

動物と赤ちゃんがじ~~~っと見るような人間は、だいたい本能が残ってるよね。
どんな本能が残っているかは知らんが。

#創作大賞2024 #エッセイ部門

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