雑誌探訪 「kotoba 2024年春号」③
kotoba 2024年春号(2024)集英社
「kotoba 2024年春号」は「エッセイを読む愉しみ」という特集でした。その中で、古典の随筆を題材にしている記事が何点かありましたので、紹介します。
岩﨑義則「エッセイ大名・松浦静山と『甲子夜話』の世界」(P108~)
この記事では、歴史学者の岩﨑義則(いわさき よしのり)が、江戸時代最大の随筆集とも言われる松浦静山(まつら せいざん)の「甲子夜話(かっしやわ)」(全278巻)について紹介するとともに、静山の息子の煕(ひろむ・正式表記は「臣」の左に縦棒一画あり)との関係を軸に静山の作品群を考察しています。
甲子夜話は、「上は将軍・大名の逸話から、下は狐狸妖怪の奇聞まで、ありよあらゆる話が記されている」とされる、とてもおもしろそうな作品です。
著したのは肥前国平戸藩(ひぜんのくにひらどはん)の藩主であった、松浦静山です。江戸で隠居したのち、晩年にこの随筆を記したとされています。
この記事では、息子の煕の能との関わりについてのエピソードや、煕の著した「亀岡随筆(かめおかずいひつ)」(全80巻)についても紹介しています。
さらに、静山の藩主時代の書物について、「平戸藩楽歳堂文庫(ひらどはんらくさいどうぶんこ)」の蔵書から紹介しています。
このように、松浦静山に関わる書物の概要をつかむのにぴったりの記事になっています。
※関連 氏家幹人(うじいえ みきと)『殿様と鼠小僧』
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