見出し画像

正科生と科目等履修生

通信制大学で学びたいと思ったときに、卒業を目指す「正科生(せいかせい)」のほかに、希望する授業だけを履修する「科目等履修生(かもくとうりしゅうせい)」がある。


まず、大学で授業を受けることを、「履修(りしゅう)」という。

大学では決められた授業を受けるのではなく、自分の希望する授業を、自分の受けたいタイミングで受けることになる。裏を返せば、自分の受ける授業は自分で選ばなければならない

大学では、まずは受けたい授業を登録する。これを、履修登録という。場合によっては、履修の仕方や、一度に履修できる人数に制限がある場合もある。従って、履修登録しても、必ずしも受けられるとは限らない。


このようにして履修する授業を決めて、卒業を目指す学生のことを、「正科生(せいかせい)」という。

正科生になるには、大きく二つの道がある。

一つは、入学試験を受け、大学1年生から学ぶ方法である。初めて大学で学ぶ場合には、基本的にはこの方法を用いる。入学した際には、入学生と呼ばれる。

もう一つは、編入試験を受け、大学3年生(場合によっては2年生、4年生)から学ぶ方法である。この場合、編入生と呼ぶことがある。

編入試験は、短期大学や大学、専門学校で取得した単位がある人(必ずしも卒業する必要はない)が受けられる。


通信制大学では、基本的には編入試験というものはない

その代わり、それまでに短期大学や大学、専門学校で取得した単位がある人は、入学後にそれを卒業のための単位として認められる場合がある。

各大学や学部によっても事情は異なるが、そのようにして認められる単位がある場合に、入学して1年生から学ぶのではなく、3年生から学ぶということもできる。つまり、編入生として学ぶということである。

従って、通信制大学では、入学試験の後、既に取得した単位がない場合は1年生として入学する既に取得した単位が認められる場合は3年生として編入するということができる。


それまでに大学や短期大学、専門学校で学んだことがない人は、迷わず1年次入学すればよい。

ただ、それまでに大学や短期大学、専門学校で学び、取得した単位がある場合には、1年次入学する以外に、編入するという道もある可能性がある。

実際にどの程度単位が認められるかは、各大学や学部によって違う。このあたりは、大学側に確認するとよい。募集要項を見るだけではなく、大学に問い合わせて確認することをおすすめする。

大学に問い合わせ、それまでに自身の取得した単位を伝え、編入可能かどうかを聞けばよい。そして編入可能だった場合に、1年次から学ぶのか、3年次編入するのかを選べばよい。自分の取得した単位がわからなければ、わかる範囲で大学に伝えれば大丈夫である。

このあたりは非常に複雑で、大学や学部によって違うので、大学に問い合わせるのが一番である。


いずれにせよ、1年次から学ぼうが3年次から学ぼうが、基本的に卒業を目指すことに変わりはない。

ちなみに、もちろん必ず卒業しなければならないというわけではない。途中で卒業をしないことにするのも選択肢である。ただ、正科生であるということは、卒業するのに無理のない学びができるということである。卒業を少しでも考えるのであれば、正科生になる必要がある


一方で、卒業を基本とはしない学び方も大学にはある。

その一つが、科目等履修生である。

科目等履修生とは、受けたい科目の授業だけを履修する学び方のことである。

例えば、法律を勉強したいけれども、特に憲法だけを学びたい。もし法学部に正科生として入学すれば、他にもさまざまな法律についても学ばなければならない。法律と直接関係のない科目も履修しなければならないだろう。

しかし、科目等履修生であれば、憲法の授業、それも特に受けたい憲法の授業だけを履修することができる。


科目は、1科目だけでも受けられることが多い。この仕組みは、通学制においてもあることが一般的である。

特定の科目だけを履修することが前提であるため、卒業を目指すことは想定されていない。もちろん、科目等履修生として少しずつ単位を取得していき、最終的に卒業することは可能である。しかし、その場合は学費や学び方において、正科生の方がスムーズである。


科目等履修生で学ぶ人には、とにかく特定の授業を受けたいという人のほかに、資格を取得することを目的とする人もいる。

例えば、教員免許など、資格の中には大学の特定の科目を履修し、単位を取得することが求められるものも少なくない。

そのような場合に、特定の科目の単位だけ取得できれば、資格を取得できることもあるのである。

そのときに、わざわざ関係のない授業を受ける必要はない。従って、特定の科目だけを履修できる科目等履修生が選ばれるのである。


ちなみに、通学制の場合は、この他に「聴講生(ちょうこうせい)」という学び方もある大学が多い。

聴講生とは、その名の通り、授業を聴講することだけに特化した学び方である。聴講生の場合、授業は受けられるが単位を取得することはできない

卒業や資格は関係なく、とにかくその科目の授業を受けたいという場合に選択される学び方である。

通信制大学の場合は、このような授業にあたるものが基本的にはないので、聴講生という仕組みは設けられていない。一部の大学では、スクーリングにおいて、聴講生という仕組みを設けているところもあるようである。

もし、本当に受けたい授業がある場合には、通学制の聴講生という仕組みを利用するのも良いと思う。


最後に、学費についても触れておこう。

正科生で入学する場合は、1年次入学から4年間(以上)在籍することになる。この場合、基本的には4年は在籍しなければならない。従って、4年分(以上)の学費がかかる。

一方、正科生で編入する場合は、もし3年次編入であれば最短で2年在籍すればよいことになる。従って、学費を2年分に収めることも可能である。

科目等履修生は、入学金や諸経費以外には、履修する科目の分だけ学費を払えばよい。

科目等履修生の学費の仕組みも大学によってさまざまで、1単位あたりで金額が決められている場合もあれば、合計の単位数によってまとめて金額が設定されている場合もある。結果的に、1単位あたりの金額も5,000円から20,000円程度まで、さまざまである。


以上のように、一口に通信制大学で学ぶ学生といっても、さまざまな学び方をしている学生がいるのである。

繰り返しになるが、大学卒業だけが大学の価値ではない自分がなぜ学びたいのかをよく考えて、最適な学び方を選んでほしい。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?