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中年の危機

今は「ティール組織」という本を今読んでいる。子どもが生まれてからなかなか本を読む時間が取れないことに加えて、株式関連の書籍に時間を割いたこともあって、久しぶりにビジネス系の本を読むとやはり面白いなと感じる。

本書は実力社会といわれる組織の問題点を指摘する中で、中年の危機に関する記述があり、ほんの一段落だがこうも簡潔かつ的確に中年の危機を記述できるものかと感動を覚えたので、紹介したいと思う。

【以下は原文を抜粋】
中年の危機は達成型組織に典型的に見られる疾病だ。中年期にいる人は、二〇年にわたって成功ゲームに参加し、厳しい競争社会を戦ってきた。そして今、自分がトップにたどりつけないこと、あるいはトップになることがすべてではないことに気づいたのだ。原則的には、達成型組織での仕事は、自己実現のための手段になり得る。しかし、何もかもが目標や数値、進捗状況と最終期限に落とし込まれ、さらには別のプログラムへの変更や部門間の調整といったことが何年も続くと、そもそも仕事の意味は何なのかと疑問を持ち、もっと別のことを望む人々が現れる。

私は新卒から10年以上働いた会社を離れ、昨年から中小企業で働いている。前職はいわゆるグローバル企業で、十数年の間、多くの部門でビジネスの基礎を学ばせてもらい大変感謝している。会社から離れた今でもその会社に愛着があり、尊敬する上司や同僚は多くいる。

しかし、その会社はまさに上述の達成型組織であり、私も会社組織の階段を上るにつれて上層部の働き方を垣間見る機会が多くなり、本の言葉を借りると、そもそも仕事の意味は何なのかと疑問を持つようになった。これまでを振り返ると、自分は大変恵まれた環境にあると自覚しながらも、自分の人生はこのままでいいのかと疑問を持つことが転職するきっかけとなった。

新しい会社は20数人の会社であり、当然のことながら前職とは働き方がぜんぜん違う。1年ほど働いた感想として、それぞれ良し悪しはあるものの新卒で大企業に入ってよかったと思う。ただし、働き方もライフステージに応じて調整していく必要があり、この段階で転職してよかったとも思う。

新卒からずっと同じ会社で働いていると、転職は一大プロジェクトのように思えるが、一度やってみると実にあっけなく終わる。個人的には子どもが小学校に上がるまではプライベート中心な働き方をし、子どもたちが自分の世界を持ち始めたら、また仕事に重心を少しシフトしたいと思っている。

人生はどんどん長くなっているので、何事も自分のペースに合ったやり方を見つけることが大事。そう考えると、中年の危機はネガティブな響きではあるが、自分の人生を振り返るいい機会でもある。


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