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「GAFA」

話題の企業と大げさなタイトルという組み合わせはあまり好きではない。でも、ちょっとしたきっかけがあって3連休にこの本読んでみた。期待せずに読み始めたが、読み進めるうちに意外にも面白く学びある一冊となった。何事も先入観は良くないと改めて反省。

さて、各社の分析についてご興味のある方は本をご覧いただくとして、個人的に問題意識や面白かった点を以下のようにまとめてみた。

情報の普及によって人々の断絶が一層深まる
情報を得るためのコストが低下し、多くの人が情報を簡単に得られれば、誤解や偏見が減り人々はよりよく理解しあえる。これは私を含めて多くの方が同意する考え方ではないだろうか。しかし、この本は反対のことを示唆している。
FacebookやGoogleの普及により、人々は自分の好みに合う情報のみを数多く受け取ることができる。その結果、認識は一方向に偏り、人々の問題や事実に対する理解はますます断絶してしまう。
確かに、オルタナティブファクトというあまり聞き慣れない言葉がはやりだしたのは近年のような気がする。

FacebookやGoogleはプラットフォームかメディアか
本書の指摘では、FacebookやGoogleは自分たちをプラットフォームと位置づけし、メディアではないと言っている。私個人の理解になってしまうが、プラットフォームは人々がさまざまな情報を自由に掲示できるスペースであり、いわば掲示板のようなもの。一方、メディアは自分たちで取材し考え、情報や意見を発信する。そして、その情報や意見の信憑性・妥当性に対して責任を持たなくてはならない。言うまでもないことだが、この責任には多くのコストが伴う。
上記の基準を照らせば、FacebookやGoogleの主張は確かに正しい。しかし本書が指摘したように、多くの人はこの2社から情報を得ているのも確かである。実感としても、極論のほうがファンを集めやすいせいか、ネットではポジションをとった一方的な意見が目立つように感じる。
無分別に情報を掲示板に乗せるべきかどうかは人によって意見が異なるだろうが、われわれ一人ひとりが考えなければいけない問題でもある。

富の集中
富の集中は本書が初めて指摘する問題ではない。しかし才能ある一部の人に富が集中した結果、不満や不公平感が充満する社会は富を得た人にとっても良い生活環境ではないはず。
個人的にはベーシックインカムは一つの解決策になりえると思っている。以前に別のブログでその考え方を書いたことがあるが、ご興味があれば是非ご一読ください。

都市の集中化
これら4社が成長する要因の一つに「地の利」があると本書は指摘している。具体的には、近隣に大きな都市があり、優秀な大学があること。
日本は東京の一極集中を問題としていて、地方活性化に力を入れているが、経済発展やエネルギー効率を考えた場合、都市化のほうが多くのメリットがある。人口が減っていく将来を考えると、過疎地の維持はますます難しくなっていく。
多様な風俗や文化の継承も重要でしょうが、「無い袖は振れない」というのが現状のようにも思う。経済発展だけが幸せではないというのも一理はあるが、どちらにしてもちゃんとした議論が必要なのだろう。

以上、本書と直接関係あることないことを考えながらひと時の読書を楽しんだ幸せな週末であった。将来を考えると、暗いことも多いが、その中で自分の楽しみを見つけて幸せに生きていきたい。願わくば子どもたちもそういう人生を歩めたらと思う。

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