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漫画の感想

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2024年3月の記事一覧

ダンジョン飯(漫画感想1)_架空の食材で現実の料理へ仕上げる楽しさ

「ダンジョン飯」はハルタで2014-2023年に連載されていた漫画で、作者は九井諒子。 架空の食材を調理して見た目は現実に存在する料理に仕上げるメタ構造と、RPGなどで定番の世界観の合せ技が最高の画力で表現されている。 2024年1月~ 原作へ忠実な内容でアニメ放映されているけど、以下はネタバレを含む漫画版の感想などを。 80年代RPGを連想させる世界観とある小さな島の小さな村で地下墓地の底が抜け、1千年前に滅びた黄金の国の王を名乗る男があらわれ「狂乱の魔術師を倒せばその国

おとなになっても(感想2)_自分と他者を赦すこと

「おとなになっても」は講談社の月刊誌Kissで2019~2023年にかけて連載されていた漫画で、作者は志村貴子。 感想を2つに分けたので、これまでの感想はこちら。 以下、ネタバレを含む感想などを。 自分の気持ちに向き合い、対話を重ねる綾乃綾乃と朱里の出会いは互いにとって運命的だったとはいえ、35歳という年齢的なことや社会的な様々なしがらみを考えたら、その関係はいつ終わったとしてもおかしくなかった。 二人が一緒になるための障壁は独身で同性愛者の自覚がある朱里の側にほぼ無くて、

おとなになっても(感想1)_不倫と真剣に向き合うこと

「おとなになっても」は講談社の月刊誌Kissで2019~2023年にかけて連載されていた漫画で、作者は志村貴子。 志村貴子作品について『敷居の住人』の頃から読み続けており、コマを省略することで読み返してから気付くような言語化しづらい複雑な感情を読者に想像させる余地を残してくれるところが好き。 以下、ネタバレを含む感想などを。 周囲を巻き込み、恋愛をする大人たちきっかけは小学校教師をしている大久保綾乃が仕事帰りに立ち寄ったダイニングバーでお酒を飲んでいると、隣のカウンター席に

違国日記(漫画感想:3)_リスクを取って、傷つきながら得たもの

「違国日記」は祥伝社から発売されている「FEEL YOUNG」で、2017年7月号から2023年7月号まで連載行さていれた漫画で、作者はヤマシタトモコ。 読み始めた当初はそんなに惹かれなかったのだが、最後まで読み終えてさらに何度か読み返すうちにジワジワとくる。 これまでの感想はこちら。 以下、ネタバレを含む感想などを。 将来について考えることの必要性朝は高校生活に慣れてくると、徐々に「自分には何もない」ことに悩むようになる。そもそも性格的に主体性が無かったのもあるが、両親が