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ソメイヨシノは実をつけない、は本当か?
「ソメイヨシノは実をつけない」
そう思っていた時期が私にもありました。
実際は、ソメイヨシノもちゃんと受粉すれば実をつけます。
ただ、実をつけない(結実しない)と思われているのには、理由がありました。
ソメイヨシノをはじめ多くのサクラは、自家不和合性です。
自家不和合性…自分の花粉を受粉しても結実せず、他社の花粉でのみ
種子をつける性質
様々な環境に適応できる、多様な性質を持った子孫を残すために、同じ遺伝子の花粉では受粉できない、という植物のしくみです。
ソメイヨシノは、接木(つぎき)により増殖されたクローンであるため、同じ遺伝子を持つソメイヨシノ同士では、自家不和合性により結実しません。
第二次世界大戦後に植栽された'染井吉野'は、接木で増殖されたひとつのクローンと考えてよいでしょう。現在では核DNAの遺伝子型を分析することで、クローン性を判別できます。気象庁が観測している全国の'染井吉野'を分析したところ、すべて同じクローンであったことも報告されています。
私たちが普段目にするソメイヨシノは、公園や街路樹などにまとめてソメイヨシノだけが植えられているため、近くのソメイヨシノの花粉を受粉しても結実せず、「ソメイヨシノは実がならない」と思い込んでしまうのです。
周囲に他のサクラ(ヤマザクラ、オオシマザクラなど)があり、うまく受粉した場合は、ソメイヨシノもちゃんと実がなるというわけです。
樹木医でありながら、こうした勘違いや迷信、昔の常識などの情報に、根拠のないまま引きずられてしまうことがあります。情報のアップデートを日々心がけ、伝えていきたいと思っています。
ソメイヨシノの開花、待ち遠しいですね!
引用・参考文献
サイエンス・アイ新書
勝木 俊雄 著
『桜の科学 日本の「サクラ」は10種だけ? 新しい事実、知られざる由来とは』
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