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そこに、その人の意志がどのくらい働いたかが問題なの〈日めくり橋本治〉

「何をやっていきたいのか、どんな風に生きていくのが自分に合っているのか、自分で感じとるの。意外と、人って、自分のことが一番わかっているようでわかっていなくて、自分にはコレがむいているとはじめてみると、意外にむいていなかったり、あるいは、新しい自分の能力の発見があったりするものなんだから。こういうのって、やってみたり、ぶつかってみないとわからないんだよね。だから、いろいろ試すことが大事なわけ。頭の中のイメージじゃなくて、肌で感じとるの。こうやって、自分っていうものと、話しながら自分のことをだんだんわかっていくのって、楽しいよ。フリーでやっていくのか、会社員なのか。歌手なのか、マスコミの人なのか、先生なのか、事務職なのか。そして、やっぱり家にいてプロの主婦がむいていると思えば、主婦をやればいい。
ようは自分でぶつかって、試行錯誤して、自分で決めていくことなの。そこに、その人の意志がどのくらい働いたかが問題なの。意志がなければ、付和雷同、右往左往してしまうでしょ。
いろいろやっていくうちに、生活のし方として(決して収入源としてではないのです)男の人と暮らす暮らし方が、生きていきやすい人は、結婚という形を選択すればいい。
籍をいれない方が生きやすい人は、そういう暮らし方をすればいい。ひとりが楽な人は、ひとりでやっていっていいと思うの。
大事なことは、その人が幸せと感じるか感じていないかだもの」

橋本治の本には“奇書”としか呼べないものがあります。これはその中の一冊。
架空の高校の同人誌という設定で、徹頭徹尾遊びっぱなし、全部手書きで、漫画あり嘘っぱちの広告ありポスターありの、なんの脈絡もない一冊。どこからどこまで橋本治が書いているのかもわかりません。
根気よく読んでいくと、上の引用のような文章にも出会えたりします。

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