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考えるとは、最後に“楽観的”の方向に変えることである〈日めくり橋本治〉

「人類の知能は、不安によって生まれました
──私はそう思います。
だから、うっかり考えてしまうと、
人は悲観的な方向に進むのです。

『考える』ということは、ある意味で『地獄の底まで降りて行く覚悟をする』ということです。
でも、降りて行って『そのまま』だったらどうにもなりません。
それはただ『地獄に落ちた』だけなので、
そんなことをするのなら、そこへ降りて行く前に『戻って来る』を考えなければなりません。
つまり、『ものを考える』ということは、
『悲観的であるような方向に落ちて行きながら、最後の最後に方向を“楽観的”の方向に
グイッと変えるのが必要だ』ということ
です。
『このままじゃやばいぞ、なんとかしなくちゃ』という転換がなければ、『ものを考える』ということにはならないのです。」
──橋本治『負けない力』

人間はほっとくと悲観的になる。
人間の知能のあり方からして悲観的になることは当然なのだから、「考えると悲観的になる」ではなく、「楽観的の方向に変えるために考える」。
考えるとはそういうことで、人間の知性とはそのためにあるのだ、それが負けない力だと説きます。

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