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新春江戸づくし〈橋本治読書日記〉

橋本治『江戸にフランス革命を!』を読み始めてすぐ「これはすごい本だ」と思ったので、どんどん読み進めたかったのだが、しだいに「歌舞伎を知らない」ことが大きなハードルになってきた。歌舞伎を知らないとよく理解できない部分が増えてくるから。
少し方向転換をして、まずは『大江戸歌舞伎はこんなもの』を読むことにした。

今にして思えば『江戸にフランス革命を!』を読むための布石になっていた『ひらがな日本美術史』は歌舞伎を知らなくても読めた。だから歌舞伎に詳しくない人がこのへんを読む場合は『ひらがな』→『大江戸』→『江戸フラ』の流れで読むのがいいと思う。実際に読んでみないとわからないけど、そこから『チャンバラ』にうまく繋がるといいなぁ。

文庫本がもうすぐ刊行。

『江戸フラ』は3種類存在する。

かなり好きな装幀。

一つは青土社版単行本、二つ目は中公文庫(上・中・下)、さらに橋本治が亡くなった年に青土社から復刊した新装版。
橋本治の本が復刊することはとても嬉しいのだが、それとは別に、自分が読むときは基本的に橋本治が生きていた時代に出版された媒体を読みたいと思っている。
単行本と文庫本で違いがなければ、装幀が好きな方とか、持ち運んだりドッグイヤーしやすいボロボロのものとか、気分で選ぶ。内容に違いがあれば、より充実しているものを。
実は橋本治の本は、単行本と文庫本に違いがある本が多い。橋本治の責任感とかサービス精神の現れかもしれない。
例えば『窯変源氏物語』は写真集が出るほど写真にこだわりがあり、おおくぼひさこさんの写真が作品の一部とも言えるのだが、単行本のほうが文庫本より写真が多い。『青空人生相談所』は『親子の世紀末人生相談』を再編集したもので、内容はかなり削られている(だから私は絶対に単行本の『世紀末』が読みたかった)。『シンデレラボーイ シンデレラガール』に至っては、文庫化される際、最後に2行追加されている!などなど。
『江戸フラ』に関してはわかりやすく文庫版あとがきがついている。そして親切にもあとがきに「何が違うか」が書いてある。単行本では省いた「彼は一体なにを怒っていたのだろうか?─平賀源内考」を文庫には収録したとのこと。単行本で省かれたのは同じ時期に出版された『問題発言2』に収録されたため。
ということで、より“完全版”と言える文庫版で『江戸フラ』は読んでいる。直前に読んでいたのが大判で重い『ひらがな』だったので羽のように軽い。『ひらがな』もいつか文庫版とか縮尺版で復刊しないかな…と夢見ている。

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