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橋本治「『読書しない』という方法」

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「ビジュアルを読むことと、文章を読むことは、『読む』ことにおいて違いはないと思ってる。それで、『読む』ということの幅さえも拡げちゃったというのはありますね。」

「読めることと、読めたことによって『分かった』が喚起されるというのは別なんですよ。『読める』ということが『分かる』ということを実現させる─それが、『読むという行為』ですよ。俺の場合は、文章も絵に一ぺんぶっこわして解体しないと読めないところはあるんだろうね。」

「じゃあ文章って何なのかというと、文章って歌なんですよ、僕にとっては。だから速読術ってあるじゃないですか。あれ、できないんですよ。いま流行りの曲100曲をどういう曲か知りたいからスピードを速めて聴くといったって無理じゃないですか。スピードを速めたら聴いたことにはならないんだから。速読というのは、僕にとってはそういうことなんですね。
だから作家が書いた文章の中から、作家の声を聴く。これは歌を聴くのと同じことなんですよ。文章の中から、書き手の声が聞こえてこない限りわかったことにならないというのは、経験的事実ですね。だから、その声がどれだけホントで、聴くに値するかがジャッジの対象になる。
言ってることが聞こえるとなると、先へ先へと進んじゃうんですよ。自分が文章の先に立って、『こうかいな』みたいにあらかじめ想像していて、しかも文章がその通りに補足してくれたり翻弄してくれたりする。コンサートの会場で一体化するみたいな感じになるの。そうならない限り『読む』にならないと思う。」

橋本治インタビュー「『読書しない』という方法」
小説トリッパー 2004年 秋季号

このインタビューは結構長くて、ほかにも着古したTシャツを雑巾に仕立てたり編み物をしながら本を読む話(集中するときは寝転がって読む)とか、途切れずに書く仕事をし続ける方法とか、教養の話、「ベストセラーはなくてもいい」とか、充実していました。


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