人生のバカバカしさに呑まれずに、己が人生の本道を歩むために〈日めくり橋本治〉

「友達というものは、重要なものである。
なぜならば、友達というものは、ゲラゲラ笑いながら人生のバカらしい真実というものを明らかにしてくれるものだからである。友達とゲラゲラ一緒に笑っていられる人間だけが、クソマジメな顔をしているだけの人生のバカバカしさから距離をおいて、呑まれずに、己が人生の本道を歩めるのである。人生などというものを、頭だけで考えたって、ロクなことにはならない。頭だけで考えられた『理論』などというものは、人生に必須のバカバカしさを排除して、人間から余裕を奪ってただ暗ーくするだけのものなのである。」──橋本治『人工島戦記』

上に引用した文章で橋本治は、同じ“バカバカしさ”という言葉をまったく逆の意味で使っています。
「クソマジメな顔をしているだけの人生のバカバカしさ」と、後半に出てくる「人生に必須のバカバカしさ」です。
前者は否定的なニュアンスで、後者は肯定的に。

人工島戦記 あるいは、ふしぎとぼくらはなにをしたらよいかのこども百科