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シルク、それは、命そのもの。

神様、そして皇室に献納される稲武産の絹糸。

豊田の稲武地区で、養蚕業が営まれ、絹糸が作られていることを、このプロジェクトを掲げてから初めて知った。

稲武産の生糸(光沢を出す加工がされる前のもの)は、神様の衣を新調して奉納する祭りである伊勢神宮の神御衣祭(かんみそさい)、熱田神宮の御衣祭(おんぞさい)に毎年献納される由緒あるもの。そして、天皇即位後に初めて行われる新嘗祭(天皇がその年収穫した五穀を天神地祇にお供えし、その年の収穫に感謝する祭祀)である大嘗祭で、古くから繒服(にぎたえ)という絹織物として皇室に調進されており、令和の大嘗祭でも上納されたとのこと。

約8年豊田市に住んでおきながら、そんな尊いものが同じ豊田市に存在していたことすら知らなかったことに恥ずかしさを感じ、同時に、どれだけの人がその存在を知っているのだろうと、感じた。


稲武へ。

さっそく稲武へ、養蚕業を実施しているまゆっこクラブさんを運営される一般財団法人古橋会の古橋様にお話を伺いに行ってきた。

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三河地方は古くから気候風土が養蚕に適していて、稲武でも昭和初期には養蚕農家が500〜600軒ほどあったとのこと、そして、今、その伝統を守り、つなぐため、まゆっこクラブさんが活動されている。

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命が宿る尊さ。シルクは命そのもの。

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お蚕さんがさなぎになるとき、身を守るために糸を吐いて繭となる。この繭から生糸をひいて、絹糸として加工をしていく。

「絹織物として纏うということは、命を纏うということなんです」

古橋様はそう説明をしてくだった。繭から生糸を引く前に乾燥させ糸をひくということは、繭の中で生きていたさなぎの命をいただく(殺蛹)ということ。例えば着物一着に約3,000個の繭、つまり、3,000匹の命をいただくということ。

私は初めて知ったその事実に少し…だいぶショックを受けたが、続けてこのように教えていただいた。

お蚕さんは生糸をとるために人間の手によって品種改良が重ねられた、いわば極致…。だから、愛情と手間をかけて大切に育て、絹として命を吹き込みます。

「お蚕さん」「お蚕様」と大事にされていたのはそういう理由があったからなんだ、「生きる糸」はこうして命をかけて美しい絹となっていくんだ、そう思うと、あまりに尊く感じたのだった。。。


命が宿るシルクで、ファッションアイテムをつくりたい。

この尊さと儚さをファッションと結びつけることができたら、きっともっと自分自身に価値感をおけるのではないか、と感じた。そして、この豊田市で自動車産業だけではない、「養蚕業×ファッション」という新しい文化を創造していけたら…と。

…というものの、歩き出せばたくさんの課題が見えてくる…。1人では、どうにもできない、としょんぼりしてしまう。



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