商品開発①−私なりの着地−

ゼロからの商品開発

普段私は、PRプランナーとして、お店や企業の広報・PRのサポートをしている。サポートの内容は企画から制作、コンサル、コーディネート、メディアリレーションまで様々で、中にはサービスのプラン設定や商品開発〜ローンチまで伴走させていただくこともある。なので、マーケティングとして抑えるべき最低限のポイントは知っている…つもりだった。しかし、それはあくまでベースがある状態でのこと。今の時点で決まっていることは、育てた繭から商品をつくるということだけだ。ゼロから商品を開発していくことの難しさを、このCoco.pjで知ることになった。マーケティングの基礎的な部分でまんまとつまづき、ぐるぐるといったり来たり、約2ヶ月悩み続けた。そこで、最終的に「(背景も含め)こういうものを作る」と、ある程度固まるところまで行き着いたのだが、今あらためて振り返ってみるとこの思考迷路は絶対に通るべき道であり、今後自分の本業でも大いに活かせるものなので、ポイントを絞ってここに書きとめたいと思う。


"コンセプトを決めよう"の"コンセプト"なんて
そう簡単には決まらない。笑

そう、コンセプトなんてそう簡単に決まらないのだ。笑
たとえ決まったとしても、その中身がイメージできなければ、ただの"言葉"に過ぎないということを、まざまざと感じた。

例えば、"本来を未来に残す"をコンセプトとして仮決め。言葉としてはなんとなくそれっぽいけど、商品やブランドとしてのイメージが沸かない。ゴールデン・サークルでいうと、whyを決めても(本来は"決める"というのもおかしいが)、how、whatをイメージできない。

普段クライアント様には、"ゴールデン・サークルのwhyの部分をちゃんと明確にしましょう!"と簡単に言っているわけだが、ゼロからそれを言葉にし、まとめ、その先をイメージしてみることはまるで難しい。

しかし、このままだったら先に進めない。

だから、私達は、"コンセプトを考えすぎない(=whyを考えすぎない)"という選択をした。

(のちにちゃんとコンセプトは出来上がります。笑)


"ターゲットは誰か?"から
"どんな人に使ってほしいか?"への思考チェンジ

STPは商品開発で序盤に行うステップだと思うが、ここでも安定的につまづいた。「"シルクは高級"と言うイメージを利用して年齢は高めの方がいいかな」「20代を狙う場合はどんな商品が良いかな」といったように、年齢や経済状態など数字で見えるデモグラフィックな特性でターゲットを定めるのだが、その先につながらない。

いよいよ頭もショートして、無理やり「ターゲットに合わせた商品開発」についてブレストしてみるが、もはや木を見て森を見ず状態で、「それじゃ売れない」「いっそのこと20代は諦める?」と完全に迷子になった。

そこで、ふと考えてみる。

「ゼロから大切に命を育て、糸をひき、染め、織り、縫製する。こと絹織物に関してはすべてが分業化されており、ひとつひとつの工程を、大量生産ではなく職人さんたちが大切に、心を込めることで形になっていく。あぁ…、それを手にした時、きっと感動するんだろうなぁ…」

そして、「こんな人に使ってほしいよね」と、考え始めたのだった。

この瞬間、"ターゲットは誰か?"から"どんな人に使ってほしいか?"へ思考がチェンジした。

さらに、「こういう時に、こんな人に使ってもらって、こんな気持ちになってもらいたい」など具体的なイメージができるようになっていった。

いわゆるペルソナも立てやすくなり、カスタマージャーニーもイメージできるようになった。ターゲットの心の変化を読み解いた顧客体験を想像することもできるようになった。これは、PRするときのメッセージの作り方にも大きなヒントになってくるだろう。



"差別化ポイント"を導き出す方法

どこで差別化する?

その問で考えていくと、「機能面?」「ファッション性?」「国産シルク100%?」とこれまたふわふわとしていった。むしろ、深く差別化ポイントを考えもせず、「こんなアイテムも作れない?」など、ここでも木を見て森を見ず状態。

「本当に差別化できるのか不安になってきた!」

メンバーのその言葉に、はっとした。そこでもう一度差別化について考え出すも、やはり納得のいく解には至らない。

そんな時、ハタヤさんを見学させていただくことになった。そして、織られた絹織物を見て驚いた。うっとりするものもあり、その手触りに感動するものもあり、中にはこれは本当にシルク?と思うほどカジュアルな風合いでワクワクするものもあり。「シルクと言っても、いろいろなポテンシャルがあるんだね…」と関心すると同時に、どんな商品にするか、その商品を通してどんな感情を引き出すか、すべての舵は自分たちが握っていることにふと気づいたのだ。

"だからこそ、私達にしかできないことがある。"

ここまで来たら、おのずと解は見つかっていった。

"私達にしかできないこと"

これは、これからもずっと、大切に守っていかなければならないと思っている。いつか、絹の尊さと私達の想いが一つの形になり、届いてほしい方たちの手に渡った時、"私達にしかできないこと"を感じてもらえたら、嬉しい。そう感じてもらえるような商品を作らなくてはならないと、強く思った。


"商品開発のヒント"が隠されている場所

そしてまた一つ感じたこと。それは、机上で考えるよりも、ネットで検索するよりも、現地に足を運び、目で見て、手で触って、感じることで、いろいろなヒントを得られるということ。Coco.pjを進める中で、多くの専門家の方や職人の方々と出会う事ができる。お話を伺ったり、現地・現物を見て肌で感じるたりすることで、納得できる解が見つかる。3歩進んで2歩下がるを繰り返しているが、ひとつひとつ理由を持ちながら納得感を持って進めている気がする。



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