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くまちゃん帽子が…

仲良くしてもらっている日本人の先輩ママさんから、色々とこども服のお下がりをいただいて、可愛いものばかりで本当にありがたく使わせてもらっている。

ピンクのくまちゃんの帽子もそのうちの一つ。

ニット帽に、まんまるのお耳が二つ付いてて、可愛いのなんの。

これを被っている娘が可愛くて、結構気に入っていたんだけど、娘は帽子を脱いで振り回すのがブーム。

MRTの駅について、エレベーターを長いこと待ってやっと乗れて、ほっとして娘を見たら、あれっ?帽子がない!

慌ててもう一度外に戻り、エレベーター付近を探したけど、帽子は落ちていない…

さっき来た道をもう一度戻ってみる。

ベビーカーで入れるかわからなくて、ずっとうろうろしていたパン屋さんの前にもない。

もう少し戻っていくと…

さっき寄った100円ショップの前の車道に、ピンクの派手な色が見える。

きっとあれだ!

急いで駆け寄ったら、雨の中、くまちゃん帽子が道路に張り付くように落ちていた。

あんまり水を吸わない材質らしく、パッパッと払えばまた使えるくらい、大して濡れても汚れてもいなかった。

また別の日。

ママ友と親子館(子どもを無料で遊ばせられる公的な施設)で遊ぶ約束をしていたのに、家を出るのが遅くなってしまって私はすごく焦っていた。

くまちゃん帽子は嫌がってすぐ脱いでしまうので、もう被せるのは諦めてベビーカーに乗せておいた。

カバンにしまわなかったのは、台湾ではよく見知らぬおばさんから帽子を被せていないと注意されるので、ここにあるよ、とアピールするためだ。

バス一本もしくはMRTでも一回乗り換えれば行ける場所だったのだけど、焦りすぎて、バスに乗ってからMRTに乗り換えるという謎のルートを選択した。

必死でベビーカーを抱えてバスから降りて、急いでMRTの駅へ。

MRTに乗り込むときに、あれ?帽子がないような気がする、とは思っていたけど、気づかないふりをしていた。

もう戻って探す時間もないので、気づきたくなかったのだ。だから帽子があるかどうか確認もしなかった。

親子館に着いて、ベビーカーから娘ちゃんと荷物を降ろすと、やっぱりくまちゃん帽子がない。

親子館に入るなり、スタッフのおばちゃんから「こんなに寒いのに帽子を被せていないの?!」と言われたので、帽子を落としたと返すと、「まあ大変!」と今にも探しに出ていこうとする。

「どこで落としたの?」と聞かれて考えてみると、やっぱりバスからMRTに乗り換えたあたりが怪しい気がする。でも確信はない。

午後4時、ママ友とバイバイした帰り道、途中のMRTの駅で私は迷っていた。

このままMRTを乗り換えて家の最寄駅まで乗って帰るか、ここで降りてくまちゃん帽子を探しに行くか。

だんだん、そもそも本当に帽子を持って出たかどうかも自信がなくなってきた。

無駄に遠い駅で降りてしまって、くまちゃん帽子を探しながら帰って、ソファの上に忘れられてたのを発見した徒労感を想像すると、迷う。

義母に電話をかけて家に帽子があるかどうか見てもらおうかと思ったが、「帽子をなくしたの?!」と大騒ぎされかねないのでやめた。

家にあったらあったでいい、もしなかったら、探さなかったことを後悔するだろうな、明日また探しにくるのも大変だし、と意を決して改札を出た。

左右をキョロキョロ見回しながら歩いていく。

植え込みに引っかかっていないか、目を凝らす。

見つからないまま、朝降りたバス停まで来てしまった。

やっぱりないか…。家にあることを祈ろう。

そう思いながらバス停を通り過ぎたところで、ピンクのくまちゃん帽子が目に飛び込んできた!

ああ!途中で降りて探しにきてよかった!くまちゃん!

誰かが拾って、高いところにかけておいてくれたらしい。

丸く出っ張ったところに、ちょうどよく被せられていた。

落としてすぐに誰かが見つけてくれたのか、これまた大して汚れてもない。

もう手元に戻ってこないんじゃないかと思っていたから、嬉しくてすぐに娘に被せた。

娘はやっぱりすぐに脱いで、くまちゃんの耳の部分をいじっている。

耳の部分はぼんぼりになっていて、たくさんの細い糸でできているのだが、すぐに一本一本が抜けてしまうのだ。娘はその糸を抜いて遊んでいるのだった。

落とさないか時々ベビーカーの中を覗き込みつつ、そのまま二駅分歩いて家に帰った。

家に帰ってすぐ、くまちゃん帽子を洗濯して、部屋の中に干しておいた。

2日後。

私は用事があり、娘を連れてお出かけしていた。

あとで旦那と合流してバイクに乗る予定だったので、その日はくまちゃん帽子ではなく、ヘルメットを被せていた。

くまちゃん帽子は取り込むのをすっかり忘れて、干しっぱなし。

用事が終わって旦那に連絡しなきゃ、とスマホを見ると、旦那からLINEが来ている。

「熊熊死掉了」

えっ、なにが死んだって?!

突然目に飛び込んできた「死」の文字にドッキリする私。

うちで飼っている3匹の猫のことが一番に頭に浮かび、熊熊なんてニックネームの子がいたっけ?と考えていると、写真も送られていたことに気づく。

その写真がこれ。

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洗ったばかりのくまちゃん帽子が、部屋で干してあったはずのくまちゃん帽子が、なぜリビングに…。

犯人は多分、一番新入りの子猫のおすしちゃんだろう。

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本当にわんぱくで、おすしちゃんが来てから、棚の上に飾ってあったはずの人形が、なぜか娘の布団の上で寝ていたりするのだ。

くまちゃん帽子を咥えてあちこち走り回って、振り回したに違いない…。

数日間、色んなところからくまちゃん帽子の耳の糸くずがあちこちから出てきて辟易した。

くまちゃん帽子への愛着から、なんとかまだ使えないかと考えて、耳の糸を全部取って普通のニット帽として使おうと思ったが、きれいに取るのは無理だと旦那に反対されて、泣く泣くさようならした。

しょんぼりしていたら、旦那がすぐにネットで新しい帽子を探してくれた。

私は絶対にまた耳付きがいい!とこだわって、可愛いのを選んで注文してもらった。

台湾の冬は短いので、どれくらい出番があるかわからないけれど、二代目くまちゃん帽子がもうすぐ届くはずだ。

ありがとう、ピンクのくまちゃん帽子。

君のおかげで、たくさん娘の可愛い姿が見れたよ。

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