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私のドタバタ婚活記②

前回、婚活サイトでいきなり超気になる男性を見つけてしまったところまで書いたが、裏ボスだと裏の番長みたいで誤解を招くといけないので、今後はこの人のことを魔王さまと呼ぶことにする。

この人にアプローチしたいところだが、私は恐れおののいていた。
遊び人レベル1の段階で魔王さまに挑むような気持ちだ。
門前払いを食らいたくなかったので、一旦完成させたプロフィール文を彼の関心を引くように変えたり、そのサイトではブログのような形で長文を書けたので、1週間かけて内容を充実させたり。
ちなみにプロフィールを訪れると足跡が残るシステムになっていた。
設定で残さないように変えられるが、私は自分のプロフを書いた直後に彼のプロフに飛んだので、初回の訪問は足跡が残っているはずだった。
その後、気づいて設定を変えたが、もし気づかなかったら彼のページには異常な数の私の足跡が残っただろう。
彼が私のプロフィールを注意深く観察していたとしたら、自分のことをかなり意識していることに気づいたはずだ。
さっさとメッセージを送ってくればいいものを、奇妙に思っただろう。

私が初回のメッセージを送る前に、後から考えれば無駄な下準備を入念にしたのには理由がある。
前回の記事で婚活をゲームに例えたが、今度は戦場に例えると、私はまず分隊長クラスにどういう人がいるのかチェックしようとしていた。
人の類型を戦術型と戦略型に分けるとすると、分隊長クラスは戦術型だ。
それに対して、私は戦略特化型なのだ。
以下に私が何年か前に受けたクリフトンストレングスの結果を貼っておく。

クリフトンストレングスにおける私の強みトップ10
緑のラインの強みが戦略的思考力のカテゴリに含まれる

クリフトンストレングスとは質問に答えると、計34個の強みがランキング形式で分かるサービスである。
それぞれの強みが実行力(紫)、影響力(オレンジ)、人間関係構築力(青)、戦略的思考力(緑)にカテゴリ分けされている。
バランスが悪いのがお分かり頂けるかと思う。
このテストは結婚後に受けたものだが、私が何となく就活ではなく婚活に活路を見出したのも頷ける。
10位の親密性は1対1の人間関係に向いており、上位に集中した戦略的思考力は、現実的に私が就きやすい職業に必要ないものばかりだ。

つまりどういうことかというと、戦術型と戦略型を比べたときに、人数が少ないのは後者なのが重要なポイントなのだ。
上位の戦術型と中位以下の戦略型は、絶対的な価値では前者のほうが上だ。
しかし戦略型のほうが数が少ないがゆえに、相対的価値は高くなる。
ということは、私が例えポンコツ戦略家だとしても、優秀な戦術家とマッチングする可能性がある。
これはそれぞれが役割分担できるので、私の絶対的価値が低いとしても、相手にとっても悪い話ではないはずだ。

……という私の華麗なる計画(笑)は魔王さまによってぶっ壊された。

私の見たところ、彼は戦略型だが、同時になかなかの戦術家でもあった。
私の当初の計画の弱点は、戦略型と戦術型どちらかが無力化すると、確実に弱体化することだ。
更にいえば、ケースバイケースだが、咄嗟の際の防御・回避性能は戦術型のほうが優れている可能性が高い。
彼のような一人で戦略家と戦術家を兼ねられる場合は、相手は忠実な戦術家のほうが役に立つ。
つまり彼と私の組み合わせは、戦略・戦術の観点からすると、私が一方的に得することになってしまうのだ。
この視点では彼の価値のほうが明らかに上なので、マッチングするには彼から見て私の価値を上げなければならない。
彼のプロフを精査するに、また軍事で例えるならば分隊長クラスより格上だが、大隊長や師団長といった、そのまま上位クラスに位置しているタイプではない。
とてもではないが通常の組織で順当に出世していく性質ではないだろう。
格上というよりは別格なのだ。
こういう人は理解者がとにかく少ない。
つまり理解者であるだけで高い価値を持つ。
彼に私が理解者たり得ることを分かってもらいたい。

これが私がメッセージを送る前から必死にアピールしようとした理由である。
もっとも頭でそう考えなくても、夢中になって彼のことを知ろうとしただろう。
要するに私は彼にトキめいていたのだ。

満を持して初めてのメッセージを送るとき、私は彼との共通点を強調した。
彼もまた生い立ちが不遇で、苦しみながら克服した人だった。

③に続く

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