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就活ノイローゼの息子に贈ることば

2022年卒就職活動中の次男は、東京の私大生。コロナ禍で大学にも行けず、狭い寮の部屋で、ひとり、リクルートスーツを着て、パソコンに向かって面接を受けています。ついに就活ノイローゼっぽくなり、精神科を受診しながら、就職活動をつづけています。

特にやりたいことはない

次男がいちばん困るのは、自分がやりたいこと、こんな仕事がしたい、などの夢がとくにないことです。

それを彼自身、とても卑屈に感じています。

でも、まだ実際に働いたことのない21歳の人間にとって、それはいけないことではないはずです。

働きながら、自分の能力が最も発揮できる仕事を見つけていくこともよくあること。もちろん、かなり若いうちに、自分の能力を知って目標設定できる人もいますが、それがすべてではありません。

いろいろな成長の仕方があるので、早ければいい、強ければいい、というものでもない。それを彼には何度も伝えるのですが、わかってくれず、彼の焦りは募るばかりです。

あまりにもマニュアル化した現在の就活

親としても、毎日のように取り乱して電話をかけてくる次男が心配です。そして、情けなく思います。

私たち親世代はバブル期最後の就活を経験しています。父親は理系なので、引く手あまたの就活でした。文系女子の私は、男子ほどのいい想いはしていませんが、内定を取ることはそう大変ではありませんでした。

そして、最もよかったと思うことは、今ほど「就活マニュアル」が徹底していなかったことです。素の自分で「いいな」と思った企業さんにアプローチして面接を受けることができました。

次男の就活を見ていると、インターンシップを受けるためのエントリーシートの書き方を皮切りに、すべてマニュアル化されています。

受かるエントリーシートを書くための業者さんもたくさんいるようです。

次男も「自分の活動をすべて数値化して、目標達成率も数字でわかるように」などを心掛けてエントリーシートを書いていました。

正直、笑ってしまいます。

心ある企業さんなら、そんな小手先の数字操作でつくられた文章によって、人間を合格させたり落としたりするはずはないのですが、次男は真剣です。

もっと本当の自分の想いを書いたら?とアドバイスしても、彼には響きません。マニュアルがすべてです。

人生に解答集はない

次男は真面目は子です。

見た目はチャラくて女の子も結構寄ってきましたが、本質的にはド真面目で、中学高校ともしっかり勉強してきました。

成績もトップクラスだったので、指定校推薦で自分の実力以上の私大に入れました。大学でも指定校推薦だったということを馬鹿にされまいと、必死で勉強して、大学の成績もいいです。

でも、就活で躓いています。

就活には、彼が今まで与えられてきた「解答集」はありません。問題集の後ろについていた、あの「解答集」は人生にはついてきません。

それがつらい。

すぐに答えが見られないのがつらいんです。

でも、それが人生。

モヤっとしている中、もがきながら進んでいって、少し明かりが見える。明かりかと思ったら、違っていたなあ、なんて普通になります。それがわからないらしいのです。

私たちの育て方が悪かったのか、受けてきた教育も、授業も、すぐに解答が与えられてすっきりしてしまったのか、はわかりません。でも、とにかく答えがないことが不安で不安でしょうがないようなのです。

大卒の新卒就活の本質

一冊の本を見つけました。

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中学生向けの本かと思うような表紙ですが、大卒就職のことが書かれた漫画です。少し読み進め、すぐに次男に贈りました。

この本に、就職活動の本質がすべて書かれています。

私が次男に伝えたいこともすべて。

幸せな仕事人生とは何かが明確に書かれています。

「自分の能力を最大限生かせること」と「人間関係」

それらを手に入れるには自らの人間性を磨いていくこと

本当にシンプルです。本質とはシンプルなものです。

ぜひいろいろな方に本書を読んでいただきたいです。登場人物の一人、夢野先生はエリート企業から三流と呼ばれる大学の就職部に転職しますが、その理由は「現在の就職活動を変えたい」という熱い想い。でも、就職活動にも人生にも言える最も大切なことは

中庸

中庸の大切さは、「論語」のはるか昔から言われています。その「中庸」を熱い想いを持つ夢野先生は体現している人物として描かれています。

そのバランス感覚溢れる指導によって、三人の大学生は幸せな就職活動をしていく。

ぜひぜひ多くの就職活動中の学生さんに読んでいただきたい本です。

たぶん、贈った次男はこの本を読まないでしょう。

現実はこんなに甘くない、と一蹴されてしまうでしょう。でも、いつかこの本質をわかってほしいなと、親としてわずかな望みを抱いています。




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