ウサギの雪


むかしむかし、遠くの海に浮かぶ小さな島国がありました。この島国は、ウサギの国と呼ばれていました。ウサギの国はとても狭いのに、たくさんのウサギたちがひしめき合って生活していました。

ある日、ウサギたちは集まって話し合いを始めました。「このままではぎゅうぎゅう詰めで暮らすのがつらいわ」と一匹のウサギが言いました。すると、みんなも頷き、一緒に解決策を考えることになりました。

その時、一人の子ウサギが元気よく手を挙げました。「小さくなる魔法の薬を作れば、みんな楽になるよ!」と提案しました。ウサギたちはみんなで考えるよりも、子ウサギの案を試すことに決めました。

早速、ウサギたちは魔法の薬の材料を集め始めました。森からは魔法の草、川からは清らかな水、空からはひとつまみの星の粉を集めてきました。ウサギたちは材料を大きな鍋に入れ、グツグツと煮ました。

ついに魔法の薬が完成しました。ウサギたちは薬を飲むと、すぐに小さくなり始めました。やがて、彼らはまるで粉雪のような小ささになりました。空を見上げると、どこまでも広がる青い空が広がっていました。

その晩、突然強い風が吹き始めました。風がウサギたちを運んでいくように、彼らは空を舞いました。ウサギたちは海を越えて、隣国に飛んで行きました。

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