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【MTG初心者向け】レガシーでニックフィットを勧める話。

①はじめに

こんばんは。MOで毎回ニックフィットを回したり配信したりして日々エンジョイしていますKoikeです。今回、年内最後のまとめに何か書こうかな、と思っていたところ、MOで最も有名なレガシー配信プレイヤー(と個人的に思っている)MOパンダさんのレガシーまとめ記事(わくわくレガシー生活 「2023年振り返り 今年のレガシー総括」 |たいむましん (t-machine.jp))を読み、初心者向けのレガシー記事が少ない、という話を見て、自分もニックフィットについて知りたい!という人向けに記事を書こう、と思い立ったのが今回の発端です。あわよくば、記事を読んでレガシーやりたい、何ならニックフィット回してみたい!と思えるような記事を書いていこうと思います。既にレガシープレイしている人にとっては「当たり前だよ」と思えるようなこともとりあえず書いていこうと思うので、温かい目で見てもらえると嬉しいです。

②MTG(マジックザギャザリング)の楽しさとレガシーの楽しさについて私が思うこと

まずは、そもそもMTGって何が面白いの?という人(そんな人がこの記事を見てくれるのかは不明ですが(笑))に対して僕が思うことを書きつつ、その後にMTGのフォーマット(使えるカードの種類を決めるルールみたいなもの)の一つ、レガシーが超楽しい、ということを書いていこうと思います。

(1)MTGの楽しさ(デッキを作る視点から)

まあ、まず、カードショップに行ってMTGの初心者向けデッキをタダでもらって実際にやってもらうか、MTGアリーナをダウンロードしてチュートリアルやってもらうのが手っ取り早いのですが、そういう「プレイしてみろ」的なことを言ってるだけでは自分の語りたいことに全く足りないので、個人的に思っていることを書こうと思います。まず、自分が今までターン制カードゲーム(先手・後手があるカードゲーム)をMTG以外にもいくつかやってみてMTG独自の、楽しい、面白い、と感じたポイントは、土地カードの存在だと思っています。MTGの土地は所謂「普通の」デッキであれば、ゲーム最初の数ターンは喉から手が出るほど欲しいカードなのですが、ゲーム後半には引いたらほぼ全く役に立たない(ことが多い)、という性質をもつカードであります。つまりカードゲームの基本である、「沢山引きたい、欲しいカードならデッキにできる限り沢山入れて引ける確率を上げる」、逆に、「引きたくないカードならデッキに入れないか、枚数を減らして確率を下げる」というどちらの要素も土地カードは持っているのです。土地を引いたから負けた試合の次に今度は土地を引かなかったから負けた、ということも良く発生します。初心者でも、土地が良い塩梅に序盤引けて、後半は土地以外の強いカードしか引かなかった、という運の要素で熟練者に勝つことだってありえます。つまり、勝ちを目指すすべてのMTGプレイヤーは「土地を何枚入れれば良いのか」「土地の代わりになるカードはないのか」「どうやったら後半の土地を引かずに済むのか」という問題に常に対峙し、その解答、アプローチがプレイヤーごとに大きく違ってくるためプレイヤー自身の個性が出てくるのがMTGの楽しさの一つだと思っています。勿論、魅力的なフレーバーテキストやイラスト、世界観なども魅力ですが、個人的にはこの土地との闘いがMTGの(デッキ構築の)楽しさとして最も挙げたいところなので、真っ先に書きました。

(2)レガシーの楽しさ

さて、そんな土地との闘いに関しての長ったらしい文章を書いたところで、レガシーです。レガシーは、禁止されているカードを除けば「今まで世に出されたすべてのMTGのカードが永続的に使える」フォーマットです。つまり、思いつく限り、また、自分の使いたいカードが存在する限りあらゆるデッキを構築できる、「自分のデッキを作ってみたい」人にとっては最も制限の少ない神フォーマットと思っています。例えば、(1)で長ったらしく述べた土地との闘いについてですが、レガシーではこういうデッキがあります。
レガシー/ベルチャー/(Kasyuu Kenta,2023/11/23)デッキリスト | 日本最大級 MTG通販サイト「晴れる屋」 (hareruyamtg.com)
土地1枚!(レガシープレイヤーには0枚のバージョンもあるよね、という認識の人も多いはず(笑))
その一方でこういうデッキもあります。
レガシー/土地単/(HARRIAN,2023/12/25)デッキリスト | 日本最大級 MTG通販サイト「晴れる屋」 (hareruyamtg.com)
土地34枚!(デッキの半分以上が土地!)
というデッキもあります。自分が最初レガシー始めたときに極端な思想が現れていてぶったまげたデッキがこの2種類だったので挙げてみましたが、それ以外にも「ぼくの考えた最強のクリーチャー」をひたすらぶつけていくデッキや、相手の土地を役に立たなくして何もさせずに勝ってしまうデッキ、自滅するカードを相手に押し付けるデッキ、などいろいろなデッキがひしめきあっております。とにかく予想外の異様なデッキとぶつかる機会がとても多いのがレガシーで、各デッキにはプレイヤーの自己表現、思想、魂がデッキに十二分に込められているのを感じ取れます。そういう屈強な魂たちのぶつかり合いの中に、自分の好きなデッキを放り込んで、華麗に勝利を収めたとき、また、自分の思い通りの動きが出来たときの喜びは何にも代えがたいものがあります。

③ニックフィットの解説

ニックフィットって何の肉?|マロッシュ (note.com)や、ニックフィットで探検するレガシー|kattupa3 (note.com)などの素晴らしい記事を読んでもらえると早いですが、自分もニックフィットの小技、基礎知識集|小池光太郎 (note.com)で幾らか解説を書いたりもしています。
簡単に言うと、ニックフィットは「レガシーのミッドレンジ(中速)~コントロール(低速)デッキの一つで、老練の探険者/Veteran Explorer - MTG Wikiを死なせることでデッキから土地を2枚場に出して、増えたマナから強いカードやコストの大きいカードをプレイして勝っていく」デッキです。
前述の土地との闘いについては、「デッキにある土地を場に出してしまうことでデッキ内の土地を引きにくくしつつ」「高コストで出しづらいカードが手札で腐る確率を下げる」というアプローチをしているデッキであります。これによって、通常なら4~5ターン目に何とか連続で土地を置いて出していくべきカードがいとも簡単に連射できることが強みの一つです。
ニックフィット初心者向けに分かりやすく言うなら、
「コストが重くて普通ではあまり入れられなそうな好きなカードをバンバン入れて叩きつけられる」楽しさのあるデッキです。

勿論、弱点もあり、まず老練の探険者への依存度が高く、老練が引けない、死なない、という試合では単なる遅いデッキになりがちです。また、強いカード、重いカードが打ち消されたりして、相手だけが一方的に強いカードをたたきつける状況になって逆に負ける、ということもあります。

そこを何とかしよう、というアプローチの結果が後で述べる最新のニックフィットの形ですが、ニックフィットの構築の基本としてだいたいどのリストでも(ⅰ)老練を場に出す、(ⅱ)老練を死なせる、(ⅲ)大きいマナ・増えた土地を生かしたカードを使う、の3要素から成っていることに注目してほしいです。
(ⅰ)に関しては老練の探険者(通称ベテラン)そのもの以外に、緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenith - MTG Wiki(通称ゼニス)が良く採用されます。これによりデッキから老練の探険者を場に出せるだけでなく、増えたマナから緑の大きいマナのクリーチャーも場に出せる、というかなり融通の利くカードです。
(ⅱ)に関しては、まず陰謀団式療法/Cabal Therapy - MTG Wiki(通称セラピー)が良く使われます。陰謀団式療法のフラッシュバックにより、老練を死なせつつ手札破壊を行うことで相手のビックアクションをできなくしたり、打ち消しや除去を落としてこちらのビックアクションをやりやすくしたりします。それ以外にも大いなるガルガドン/Greater Gargadon - MTG Wikiや、村の儀式/Village Rites - MTG Wiki死に至る醸造/Deadly Brew - MTG Wikiオークの弓使い/Orcish Bowmasters - MTG Wiki(矢を敵じゃなくて自分の老練に撃つ)など様々なアプローチが試されてきました。個人的には緑の太陽の頂点のx=1で老練を殺せる有用なカードが出てくれば、更にニックフィットは強化されるのでないか、と思っています。
(ⅲ)については、構築で最も楽しい部分ですね。順当に土地置いて老練死なせられれば、2ターン目に土地4枚、3ターン目に土地5枚以上が並ぶことになります。3ターン目から5マナ以下の手札のカードが毎回打てるなんて…と、一回一人回してみると本当に楽しい動きをしてくれます。まあ、レガシーにおいて5マナ以上のカードが場に出る=大体勝負の趨勢が決まることが多いので、1枚1枚の強さには本当に吟味する必要があるのですが。クリーチャーに関しては緑頂点で持ってこれる緑のカードが採用されることが多いです。そのほかにも除去されにくい強力なプレインズウォーカーや、大きなマナを生かしたコンボを入れて相手を即死させてしまう(スモッグコンボなど)、というようなアプローチもあります。

④令和版ニックフィットの各デッキリスト紹介・解説

晴れる屋のほうでニックフィット検索して今年入賞したいくつかのデッキリストを解説つきで紹介します。自分(Koike)のデッキについては後で色々語ります。

(1)レガシー/ニックフィット/(Kanno Tetsuro,2023/12/27)デッキリスト | 日本最大級 MTG通販サイト「晴れる屋」 (hareruyamtg.com)

今年最後に載ったリストは、由緒正しき、重いカードを叩きつけていくタイプのジャンド(緑黒赤)ニックフィットです。老練の探険者以外にもマナクリーチャーを入れることにより、老練を引けなかった場合や、相手にマナを与えたくない場合にも大きいマナコストのカードを叩きつけまくれるように工夫しています。4マナ以上のカードの大半がイニシアチブ持ちなので除去されてもどんどん此方が有利になっていき、また、現代最強のプレインズウォーカーとも言われる時を超えた英雄、ミンスクとブー/Minsc & Boo, Timeless Heroes - MTG Wikiも複数枚入っており、除去満載のデッキやクリーチャーで攻撃する戦略を否定するデッキ(罠の橋などを使うデッキ)にも闘いやすくしています。最もニックフィットらしい楽しみ方ができ、初心者にとてもお勧めしたいリストですね。

(2)レガシー/ニックフィット/(Kozawa Takuya,2023/07/30)デッキリスト | 日本最大級 MTG通販サイト「晴れる屋」 (hareruyamtg.com)

今度はアブザン(緑黒白)ニックフィットで、サムワイズ・ギャムジー/Samwise Gamgee - MTG Wiki大釜の使い魔/Cauldron Familiar - MTG Wiki臓物の予見者/Viscera Seer - MTG Wikiの3枚による無限ドレインコンボを如何に早く決めるか、というのに集中しつつ、それ以外にも重いマナコストをうまく使う緑のクリーチャーカードを散りばめているデッキになります。臓物の予見者が老練を死なせたりコンボのキーパーツにもなっているので、相性が良いですね。その他にもウルザの物語/Urza's Saga - MTG Wikiからサーチできるサクリ台として魔女のかまど/Witch's Oven - MTG Wikiが採用されていたり、とかなりの意欲作と思います。

(3)レガシー/ニックフィット/(ホンザワ マサキ,2023/07/29)デッキリスト | 日本最大級 MTG通販サイト「晴れる屋」 (hareruyamtg.com)

今度もアブザンニックフィットですが、自分のクリーチャーを死なせるカードが多いニックフィットの特徴を生かし、競技場の首長/Arena Rector - MTG Wikiを死なせることでデッキから勝負を決定しうる強力なプレインズウォーカー(ウギン、ケイヤ、オニキス教授)を早期に出していくアプローチと、ウィザーブルームの初学者/Witherbloom Apprentice - MTG Wiki煙霧の連鎖/Chain of Smog - MTG Wikiを揃えることで相手のライフが幾らだろうと即死させるスモッグ・コンボを撃つアプローチのどちらもを採用した欲張りセットですね。増えたマナを生かして4マナの競技場の首長を早く出せるようにしたり、更に土地が延びればデッキから出す予定だったプレインズウォーカーを引いても普通に唱えられたり、と毎回楽しい動きが出来そうな構築です。ただ、スモッグと首長を引いたけれど、死なせるカードも初学者も引かない、などちぐはぐな手札が来ることも多そうなので、それを緩和するために悪魔の職工などを採用し、サーチ&死亡のどちらの要素も取れるようにしていて工夫がうかがえます。

(4)Nic Fit by ZYURYO Deck (mtggoldfish.com)
晴れる屋のサイトでは載っていませんが、スゥルタイ(緑黒青)のニックフィットです。と言っても、青のカードは自然の怒りのタイタン、ウーロ/Uro, Titan of Nature's Wrath - MTG Wikiトレストの使者、レオヴォルド/Leovold, Emissary of Trest - MTG Wikiだけ、という男らしい構成ですね。レガシーの環境的に青を見せることで打ち消しを警戒させることが出来、さらに現代レガシー最強のドローソースとも言われる一つの指輪/The One Ring - MTG Wikiとウーロを搭載することで、ニックフィットでたまにある、「土地のばしたけれど、土地ばかり引いて何も引かない」状況をほぼ回避できるようにしています。指輪ウーロが揃えばほぼ間違いなく手札は溢れんばかりになっているでしょう。個人的に改造していくとしたら、後半の溢れんばかりの手札をバンバン消費しやすいようにピッチスペルなどを沢山入れていきたいところですね。

⑤最新版私のニックフィット

Nic Fit by Koike Deck (mtggoldfish.com)
が今のところ自分の入賞リストでもっとも新しいものです。
基本的には老練をガルガドンで死なせ、波乱の悪魔/Mayhem Devil - MTG Wikiアルゴスの庇護者、ティタニア/Titania, Protector of Argoth - MTG Wikiで増えた土地をガルガドンで消費することで攻撃的に利用していく動きをします。具体的な動きは2023エターナルウィークエンドアジアレガシー常滑に参加した記録|小池光太郎 (note.com)にも載せているので良ければ見てみて下さい。以前のデッキとの大きな違いは、レオヴォルドを入れることでこちらのドローの力を上げつつ、ひたすらドローしまくるデッキ相手に、オークの弓使い以外でにらみを利かせることが出来るようにしたことや、殺し/Snuff Out - MTG Wikiを採用することで、ガルガドンや波乱の悪魔が攻撃するときに邪魔なブロッカーを排除しやすくしたことですね。特に殺しは最近流行りのゴブリンや赤白イニシアチブなどの強力なストンピィに刺さりやすいので重宝しています。

追記:今年は自分の大好きなクリーチャーである最後のトロール、スラーン/Thrun, the Last Troll - MTG Wikiが強化されて再登場した年でもあり、記念に沈黙を破る者、スラーン/Thrun, Breaker of Silence - MTG Wikiを活躍させるデッキを作って年末にレガシー大会出てみたのですが、惜しくも一敗したことでデッキ登録チャンスを逃したためここで供養しておこうと思います(笑)
新スラーンおめでとうニックフィット | ニックフィット | レガシー | デッキ構築機能 (hareruyamtg.com)

⑥デッキの回し方

あとはデッキを組んでみたけれど、どのようにプレイしていくべきか、について書こうと思います。
まず初手7枚の手札の吟味ですが、上述のように、老練とマナの依存度が高いデッキなので、老練が出せそうにない手札・土地が延びそうにない手札はマリガンをした方が良いです。逆に、土地1枚でも老練・陰謀団式療法が揃っていて緑黒マナの土地(bayouかbayouを持って来れるフェッチランド)がある状況などはキープをして良いと思います。また、1ターン目緑の太陽の頂点x=0でデッキからドライアドの東屋を持ってきて土地が2ターン目に3マナ出る状況など、早くから土地が伸びていけそうな手札であれば、それもキープして良いと思います。
キープしたところで、次にプレイングの指針は、何はともあれ、老練を「場に出して」「死なせる」、ことを最初の目標として回します。老練が打ち消される状況になりそうならまず陰謀団式療法で打ち消し(良く意志の力を指定することが多い)を落としてから安全に老練を場に出す、剣を鋤になど、相手が老練を追放してくる予想があるなら、療法やガルガドンでいつでも老練を死なせれる状態にしてから老練を唱える、虚空の杯などで老練が打ち消される状況になりそうなら最初から老練を唱えておく、などのプレイングを意識します。こちら先手で相手のデッキも良くわからないときは初手は老練プレイを優先した方が良いと思ってます。これは、返しに虚空の杯を出されても大丈夫なこと、あわよくば老練で次のターンから攻撃してダメージ1点が稼げること、そして何より陰謀団式療法が相手のデッキのイメージが分かっているのといないのでは段違いにヒット率が変わるためです。また、相手のデッキが良くわからないけれど、1ターン目に陰謀団式療法、2ターン目に緑頂点x=1で老練を死なせる、というプランを取るときは、2ターン目の緑頂点を確実に通す必要があり、1ターン目に指定するのは採用率を考えて意志の力や目くらまし、またはそれらを探せる渦巻く知識などであることが多いです。特に渦巻く知識を指定すると、老練を2ターン目に運良く出せて、療法のフラッシュバックでお互いに土地が2枚出た後、陰謀団式療法の解決が行われるのですが、その際に渦巻く知識で手札の状態を変更される、というのを防ぐことが出来、確実に手札を捨てさせられる、という利点があります。(つまり良くわからない相手のときはブレインストーム指定が安牌だよ、ということ)。
老練が無事に死んでくれたら後はフィーバータイムですね。好きなカードをどんどん叩きつけて勝ちをもぎ取りましょう。

⑦終わりに

今年も勝ったり負けたりを繰り返した1年でしたが、とても楽しく充実した日々でありました。大きな大会でもそれなりに勝てるときもあったので、自信も少しづつついてきました。また、今年一番大きな収穫は、チームレガシーを初めてやれたことで、誰かと相談しながらプレイをしていくという新鮮な体験ができ、とても楽しかったです。来年、もしチームレガシーする機会がまたあれば、ぜひ参加していきたいですね。
まあ、来年は私的な理由ですが、家族が増えそうなのでお金を貯める意味合いで遠征は幾らか控えていく形にはなるだろうな、と予想しています。妻子持ちMTGプレイヤーさんたちのnoteを参考にさせてもらうと、おそらくMOに力を注ぐ年になりそう、と思います。
来年も楽しいレガシーライフを送っていきたい、というところで今回の記事は終了しようと思います。来年も皆さま、良いお年になりますように。


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