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アーマードコアのせいで理系大学院まで来てしまった件


#自己紹介をゲームで語る

素晴らしい企画だ。

僕の人生は常にゲームと共にあった。

今回は中でも学問方面で僕をここまで引っ張り込んだアーマードコアというゲームについて書いていく。
親父も母親もゲームが大好きで、常に当時の最新ハードが置かれるような家であった。PS2もPSも、メガドライブもドリームキャストも、 64もファミコンも、ゲームボーイカラーもゲームボーイポケットもあった。

そんな僕が親父から最初にもらったゲームはポケモンの緑だった。まだ幼稚園にも入っていない僕には難しかったが、親父が既に育てていたユンゲラーがとても強くて、気がついたら殿堂入りまで行っていた。
母親がアクションゲームをやっているのを横から見ていた。自分ではどうにもクリアできないのでソニックアドベンチャーの隠しボスであるファイナルカオスの演出見たさに、何度も母親に攻略して欲しいと頼んでやってもらっていた。

そんな一家にアーマードコアが初めて来たのは僕が幼稚園年少だった頃。
親父が仕事帰りに買ってきたアーマードコア2アナザーエイジであった。
そもそも当時僕はガンダムウイングを見ていて、かっこいいと常々言っていた。親父もガンダム好きでロボットが好きだったので、俺も喜ぶだろうということで買ってきたのだ。
まずは親父がプレイし始める。それは当然の権利といったものだ。
PS2から既に入っていたソフトをイジェクトして、新しく買ってきたソフトをいれる。認識され、ゲームが始まる。

早速始まったOPムービーに僕は度肝を抜かれた。

僕がそれまでに知っていたロボットとは明らかに違う、リアルさがありながらスタイリッシュなロボット。実弾を伴い、破壊の演出で鉄片が舞う。
硝煙と油と、鉄の香りのするロボットだった。

言うまでもないが、こちらの動画のサムネにもなっている「エネルギーブレードで通りがけの敵を切り倒すシーン」で完全に僕はこのゲームの虜になった。齢にして4歳の頃の出来事である。これが約20年前のゲームのCGだという点もなかなか恐ろしい。

このゲームに夢中になった僕は卒園するまでの間、暇があれば遊んだ。
この頃のACシリーズは極めて複雑な操作体系になっており、平行移動はR1L1,
前進後進がスティックの上下、視点回転がスティックの横、視点上下がRL2
基本操作である移動だけでこの始末なのに、武器切り替え、エクステンションの使用、オーバードブーストの使用、通常ブーストの使用、武器の射出、左腕部武器の使用、それぞれにボタンが割り振られており、これらを戦闘中に全て使う。

プレイ画面中には自分の機体の情報、敵の位置を示すレーダー、外気温、使用兵装の残弾、視界に入って攻撃可能な敵までの距離などが表示される。

人様の動画で申し訳ないがこんな感じのゲームである。

着地をブーストでうまく消せないと反動で動けなくなっていたり、OP映像ほどではないものの、リアルさを感じる演出があったりするのだ。

こんなものを幼稚園児がすぐにできるようになるわけもない。
親父は俺が遊べる様に自分のセーブデータをコピーして俺の名前に付け替え、俺でもクリアできるステージを何個か教えてくれた。
単純な目的、単純なステージ、弱い敵が揃った初心者にうってつけのステージである。

それでも幼稚園児の学習能力は中々のもので、気がつけば自分である程度操作できる様になり、自分でロボットをカスタマイズする方法を考えつく様になり、親父が教えてくれたステージではないステージもクリアできる様になっていった。

余談だが、ACシリーズのいいところは、難しさはあっても理不尽さは極めて少ないところにある。
機体のカスタマイズをうまく行えばーーーーそれは”最強”を作るのではなく、それぞれのミッションにおける”最適”となる機体を組むという意味だーーーー、どれだけ下手でも攻略の要さえ押さえていればクリアできるようになっている。
例えば、一見理不尽に見える制限時間付きのミッションも、軽量な機体でいけばなんとかなるようになっているし、敵ACが強いミッションでは実は共通の弱点として”ミサイル迎撃手段”が乏しく、逃げ回りながら打てば勝てる等。。。機体側の工夫でどうにかなることが多いのも魅力だ。

とは言え当時は依頼文が読めないのでただ破壊するだけのステージばかりをクリアしていた。
しかして、幼稚園の年長になる頃には、ブリーフィング(依頼内容の確認画面)で声優さんが読み上げてくれる依頼文と文面を照らし合わせて漢字を覚えたり、護衛等の難しい単語を親に聞いたりして覚える事でできるステージがどんどんと増えていった。

他には、機体をカスタマイズする行為の中に、機体のカラーを変更するという機能がこのゲームにはあった。パーツや関節部ごとにRGB指定することで色を変更することができる。RGBだけで全ての色を指定できるということが不思議で仕方がなかったので母親に聞いて納得するまで教えてもらった。

依頼内容や社会情勢、どうして戦争してるのかまでは理解できなかったが、こういう危険な仕事をやって欲しい人がいて、それに対して報酬が発生しているんだということも親父に教えてもらった。

漢字、手先の操作、ちょっとした人間性、語彙をこのゲームを通して僕は学んでいた。このゲームはいわば僕の教科書であった。

そして僕の関心はやはり、この様なロボットを動かしてみたいという所に至る。自分でロボットの絵を描いてみたり、レゴブロックで組み立ててみたり、どういう風にすれば人間が乗って動かすことのできる機構のロボットを作ることができるのか?という発想にも至った。

ねだるにねだって、親父には先ほどのOPに登場した二体の機体の人形のセットを買ってもらった。どこがどう動く様になっているのか、ロボットのバランスはどうなっているのかなどを真剣に考えたりしてポージングさせたり、OPの動きの再現にならないかと遊んでいた。

どうしてレーザーはエネルギーを消費するのに”残弾”があるのか、着弾した時に爆発するのはなぜか、エネルギー弾がカートリッジ化されているのか?といった感じで
「空想上のものであるにしても、今ある現象や事実に対して自分なりに考えて、それに対する説明を試みる」
という科学やらSFの楽しみ方の一つである考え方もここで身につけた。

僕の関心はここらへんで既に完全に科学的な所に傾倒し始めていた。あんなにかっこいいレーザーライフルを、どうすれば作れるのか、レーザーってそもそもなんだろう等。

小学生になれば理科という科目があるということは知っていたので、それを心待ちにしてゲームで遊んでいた。

理科が好きといえば、うちの家系には誰も大学卒業者なんて一人もいないのにもかかわらず、祖父母が学研の科学雑誌を買ってくれたり、母親が昔持っていた本をくれたり、親父が宇宙の図鑑を買ってくれたものだった。
僕はこれをかたっぱしから読み漁り、気が付けば今じゃ蘊蓄おじさんである。当時培った知識でまだ蘊蓄として披露できるあたり、みんな科学に関心がない、というかこのゲームのおかげでだいぶ関心を育まれたと感じる。。

その間もACは発売し続けられ、中学生の頃には4の続編であるfaが発売された。

当時、東京モード学園のCMにも使用されたこの美麗なOPはやはり僕の心にも響いてくるものがあった。(これで12年前かよ...)

そんなAC大好き理系少年をして育っていった高校生のあるとき、
ふと「戦争のためのロボットだし、たとえ作業用マニピュレータとして機能させるにしても人を完全に模した大型ロボットはおそらくコストの問題で需要がないな」と思ったことをきっかけに、ロボットを作る方面での理科からは卒業した。
現象を説明する時の物理の強力さを知って、そっち方面に強く関心を抱いて
「人の役に立つ方面の仕事なら工学部系がやってくれるだろう」
という発想の元、理学部物理学科の大学に入学した。

何の縁か、結局ロボットはサークル活動にて作ることにはなるのだが、これは省略しよう。

理系の学部というのは研究をするにはあまりに時間がない。基礎を身につけるのにほとんどの時間を使ってしまうからだ。
専攻も素粒子希望だったが気が付けば量子コンピュータをやっており、さらに大学院選びの過程で気が付けば物性物理学になっていた。

量子コンピュータでの研究にケリをつけて、今僕は機械学習を物性に応用する内容の研究に着手し始めている。

ともかく僕はアーマードコアを少年時代に学べたことで、いろいろ考え方や趣向、何より素直にロボットをかっこいいと思える様になった。

目標や専攻が変わった今でも、このシリーズを通して学び、覚え、培ってきた力をもとに学問の世界に身を置いている。

長く続いているACシリーズは最新作であるヴァーティクトデイまで全てプレイしてある。最新作発売から既に結構な時間が経っているが、僕を理系大学院まで連れてきたこのシリーズをできることなら僕は一生遊んでいきたいと思っている。

だから

アーマードコアの新作は出る。

追記:
マジで新作出た(驚愕)
社会人となった私ですが、エンジニアをやっています。
かつてキサラギの研究員や、AC3のOPに出てくる赤陣営のおじさん(なにやら操作をしている)に憧れを覚えたものですが、ああいう感じに収束するようです。
それこそAMIDAを作った研究員のような情熱を持って取り組める仕事につきたいものです。


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