見出し画像

何故離婚したの?という質問、こちらは相談していない困惑

私はバツイチだ。数年前に離婚したので、どちらかと言うと、まだホヤホヤである。
男だし、今の時代、離婚も珍しい事ではないので、さほど恥じてはいない。仕方ない事はある。
が、とは言っても、やはり、心の中には、重油流出事故のようにどす黒いタールの様な粘着質な部分もまだ残っている。

「何故離婚になったのだろう?」、「何が悪かったのだろう?」、「どこで歯車が狂ったのだろう?」

色々と考えるものだ。「相手のここが悪かった!」と相手が既にいない所でエアで断じてみたり、「いやいや、俺もああいう所が悪かったな、、」とこれまた一人で反省してみたり。そして、その都度、明確な答えは出ないので、「考えても仕方ないか」と蓋をするようにする。

もう子供でもないので、初恋に散った時のような甘酸っぱいモノもなく、ある程度、「女と男の別れ」というモノに免疫も出来ているので、時間が経過し、濁流が清流と混ざり合って薄まっていくのを座して待つ。
そして、そのプロセスの分だけ、人としての徳が年輪の様に増えていく、と信じたい。

話を戻すと、離婚については、「まあ仕方ない」と思うようにしているので、飲み屋である程度話す様になった初対面にも、別に隠す様な事でもない。
「結婚してるんですか?」と聞かれれば、「独身だけど、バツイチ」と答えるし、なんか色恋に発展しそうな雰囲気があれば、「恋人いない、けどバツイチ」と先に申告しておく。

そこまではいい。

まあ先方も避けては通れないし、聞かずにはいられないし、はたまた自分が「聞いてくれ」と思わせてしまっているのか、いつものアノ質問が出る。

「なんで離婚したんですか?」

ここからが困るのである。
私の場合、どちらかと言うと、妻の方が自分に興味を失った具合だったので、その話をする。

すると、「相手のせいにしてはいけない」と言う講釈が返ってくることがある。

んなーこたあー、言われなくても100も承知なのである。

私も、「男女の事だからどちらかが原因とは言えないけど」と前置きはする。
が、その講釈が返ってくると、ハッキリいってぐったりする。

じゃあ、そもそも、そんな野暮ったい質問しないでよ、、と思うのである。

「相手のせいにしてはいけない」と悦に入って講釈垂れたいのであれば、「じゃあ元妻もここに呼んでからその質問してよ。じゃないとフェアな話は絶対に出来ない」となる。
ここには自分しかいないし、私にその質問をするという事は、私サイドのみのストーリーになるのは火を見るより明らかだ。
まあ、そもそも元妻が来た所で、話が平行線だから離婚したわけで。
そして、こちらも「自分も悪かったな」と省みたりしているので、「お前に言われる事ではない」のである。

まだこちらから相談していて、「それは貴方も悪いんじゃない」と言われるのであれば分かるが、「Why?」の質問にのみ回答しているこちらとしては別にジャッジも求めていない。

「俺が悪かったんだよ・・」と遠い目をして高倉健の様に呟くのを期待しているのかもしれないし、そういう答えが好きな人も多い。
が、こればっかしは、時間が経過しても言えないような気がする。
「不倫される方も悪い」と言われるのと同様、そういう責任の所在追求はもはや禅問答である。

私も、以前は、「夫のモラハラ・DVが原因で」と言う理由を離婚相談のテレビ番組等で話しているのが好きではなかった。「いやいや、どちらにも原因があったんじゃないかね」なんて思っていた。
がしかし、やはり、離婚にはどちらかが火種を撒いてる場合があるから「慰謝料」と言うものがあるし、恐らく離婚した誰もが最大限の努力はしたのである。
それに対して、「貴方も(が)悪い」なんて、当事者以外が言えないし、全てが「喧嘩両成敗」で済めば裁判所もいらない。

確かに、「私も悪かったんだよね。今ではいい思い出だけど」って言うのが一般受けする回答だというのは分かるが、それを求められるには苦痛なケースもあるものだ。

話すにしても、相手に恨みつらみあるけども、なるべくオブラートに包んで、「男女の間の話だから」と前置きもし、恨み節にならないよう配慮もする。

が、「相手のせいにしてはいけない」と自己満判決された日にゃ、「あー、めんどくさい、、」となる。

こちらも、いちいち反論するのもバカらしいので、「うん、そうですね」と答え、そういうバカとの会話は打ち切るが、なかなか困るのである。

ゴルフの打ちっぱなしとかボーリングとか、「レッスンの強要禁止」と言うマナーがあるようだが、そんなイメージだろうか。

質問する側も、興味本位ではあると思うが、人との争い事を他人がジャッジしてはいけない、という事を肝に銘じて質問してもらいたいものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?