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写真探し 渋谷アッジェ 2024年創刊号

日々ストリートスナップを撮る者は被写体を探してカメラを携え街をウロウロしている。今日においてスナップを本気でやっている者はごく限られ、街でその姿を目にすることはあまりない。彼ら/彼女らは街の影に徹し、「そこで写真を撮った」という自らの痕跡を残したり、目印となる旗を立てることなく消えていくから、ただでさえその存在は認識しづらい。

首から純正ストラップを付けたカメラをプラプラさせているのは観光客で、それなりに目立つ。常にカメラを握ってシャッターボタンに指をかけている、あるいは片手で小さなカメラを持って早歩きで去って行くのはだいたいスナップシューターだ。とはいえ、ぼくはSonyのα7Ⅳに24-70mm F2.8 GMⅡという構成で、ミニマルではない。82mmの口径を持つレンズは本当に目立つ。ストリートスナップでは目立たないほうがいいとされているが、ぼくは「あえて」撮影してます感を出す。そのほうが街や被写体に対してフェアだと思う。

さて、タイトルにある「渋谷アッジェ」とはまさに荒木経惟の「東京アッジェ」のマネである。「東京アッジェ」は、荒木経惟が電通を辞めた後に、ペンタックス6x7に55mmのレンズを付けて、カメラを取り付けた三脚を担ぎながら、一年間あてもなく東京中を撮りまくったことに由来する。さらに、「アッジェ」とはパリの裏街を撮り続けた、言わずと知れた伝説の写真家ウジェーヌ・アッジェから来ている。

まあ、荒木経惟もアッジェも天才の中の天才、ぼくのような凡人には到底及ばない存在だから、いきなり「東京アッジェ」するのではなく、まずは身近な渋谷から「アッジェ」してみることにした。だから、「渋谷アッジェ」。

「渋谷アッジェ」をするにあたって、「①できるだけ情緒を排除すること・②フラットなモノクロのイメージにすること・③必ず三脚を担ぐこと・④三脚を構えたらすぐに撮影すること」を心がけた。情緒は若者言葉で言えば「エモい」ということだけど、写真にエモさがあるとわざとらしい写真になってしまう。でもねえ、そうは言っても写真撮ってれば情緒を「じょうちょじょうちょ」ってちょうちょを探すように求めちゃうでしょう。カメラって虫取り網なんだよね。だから拭いきれない情緒が写っちゃうときもある。あと、ウソついてる写真も出ちゃうな。

②と④も情緒に引っ張られないようにするためと、ファインダーに移った像をすべて受け入れるためのルールでもある。やっぱり人や物を「モノ」にしちゃいけない。③は、三脚を担いで街を行脚した伝説たちの踏襲だ。三脚担ぐのも写真行為の訓練には必要だよね。

あんまりいうと、情緒が顔を出しちゃうから、以下に写真だけ乗っけておきます。「渋谷アッジェ」は週一か月一でやりたいと思います。

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