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OM SYSTEM TG-7 レビュー


作例写真には、虫の死骸などの不快感を催す可能性のある写真が掲載されています。それらの写真が苦手な方は記事を閲覧しないようよろしくお願いします。

購入理由

メイン機を雨の日に使うのが不安で、強力な防塵防滴に加えボコボコのギッタギタにしても安心して使えるサブカメラを探していた。中古のコンデジは謎のブームによって軒並み高くなっているし、GRⅢはサブにはオーバースペック。メイン機のスペックがだいぶ優秀なためサブにスペックを求める必要は無かった。他のタフネスカメラはデザインがイマイチだったため、最終的にTG-7が選ばれた。レンズが出っ張らないデザインも秀逸。IP68の防塵防滴性能かつ耐衝撃2.1mのタフ性能。しかも水深15mまで沈められる。まさにタフネス。センサーは1/2.33型で1200万画素だ。センサーサイズと画素は控えめだけれど、サブだし問題ない。しかもセンサーサイズは小さいほうがパンフォーカスにしやすいためスナップ向きだ。しかし、センサーサイズが小さいというのはデメリットでもある。それは後述する。

あと、なによりもマクロが使えるのが素敵である。スナップを単焦点のマクロレンズで挑むのはちょっとキツいし、貧乏人に今後使うかどうかも分からないレンズを買う根性は絶無である。TG-7なら軽いし気になったときにサッと取り出してマクロも撮れるのが良いし、「なにこれ」みたいなものもパッと撮れるという、汚いものを撮るお行儀の悪さにも対応してくれる。カミソリマクロ(SIGMAの70mm F2.8 Macro)なんかで歌舞伎町のゴミを撮る気にはなれない。TG-7は善悪の彼岸に在るようなカメラだ。

使用開始から1ヶ月弱が経過したので、撮った写真を交えながら長所と短所を語っていきます。

冒頭にも記述していますが、センシティブな写真が掲載されているので、そういう写真が苦手な方は記事の閲覧をしないようよろしくお願いします。


普段の使い方

焦点距離

僕がTG-7を使うときは、いつも2倍にズームしている。ワイド端(ズームしていない状態)だと焦点距離が35mm判換算(以下、換算)で25mm相当のため、2倍ズームでちょうど換算で50mm相当となる。最大は4倍までズームでき、換算で100mm相当となる。なぜ換算50mm相当に設定しているかというと、メイン機で35mmの単焦点レンズを使っており、広角よりも標準でサブを使いたかったし、サブのカメラではフレーミングとか構図をあまり考えずに見たままを撮りたい。マクロで撮るときに3倍あるいは4倍ズームで撮るようにしている。

f4.5, 1/320, iso100, -0.7EV, 換算50mm

顕微鏡モード

最も使っているのは1cmまで寄って撮れる顕微鏡モードだ。この1cmまで寄れる機能は、4倍ズーム時でも適用される。マクロで撮影するときはいつも楽しい。マクロのお陰で今まで街を歩いていて見逃してきたごく小さなことにも注意を払って見るようになった。この「見る」という写真の基本を再確認する意味でも優れた機能だと思う。それを1台で手軽に出来るから素晴らしい。

顕微鏡モード以外にもマクロAFという機能があるが、マクロAFはあまり信用できない。というのも、マクロAFではフラッシュを使ってほしいタイミングで光らない現象がよくあり、光ったとしても発光量が強くなりすぎることがあった。顕微鏡モードなら確実に光ってくれるし適切な発光量にセットしてくれる。もちろんこれは僕の環境での話であり、設定や使い方しだいではマクロAFでも問題ないかもしれない。

マクロモードは面白い使い方もできる。マクロはピントの距離を極端に近づけることができるため、ピントを3cmくらいのところに設定して写真を撮ると、曖昧なイメージが浮かび上がり不安感のある写真が撮れる。

RAWよりもjpgで撮る

TG-7を使い始めた時は、RAWだけで撮影していた。撮影後はLightroomに取り込んで編集をしていたのだけれど、メインでRAWでサブでもRAWだとファイル管理と編集が煩わしくて、jpgだけで撮るようになった。現在のピクチャーモード(jpgの仕上がり設定)は「カスタム(モニター表示ではC)」に設定していて、MENUの詳細設定で「Vivid, シャープネス -1, コントラスト+2, 彩度-2, 階調 標準」にしている。その後、Lightroomでモノクロに変換している。

日付機能

日付機能も素晴らしい。日付は写真に擬似的な日記としての特質を持たせることができる。日付機能はカメラの日時設定と連動していて、2000年1月1日から2099年12月31日まで設定できる。つまり、2000年まで時を遡ることができるし、2099年の未来まで時を進めることもできる。かつて荒木経惟がやった、「偽ルポルタージュ」や「偽日記」のように写真を分かりやすくフィクションに仕立て上げられる。もっとも、方法論だけを真似ることはなんの表現にもならないんだけれど。

わざわざjpgのデータをLightroomでモノクロに変換しているのは、写真に表示されている日付をモノクロにするためである。なぜか、日付機能をオンの状態にしてモノクロで撮っても日付はカラーのままになる。

タフネス性能

まだ派手に落としたことがないため、その頑丈さを味わったことはない。しかし、持ってみた印象では強そう。安っぽい感じもしない。

そこよりも僕が強調したい点は防水性能だ。雨の日にずぶ濡れにしてみたが、全く問題なく使える。そもそも水深15mまで沈めても問題ないのだから、雨ぐらいで壊れるわけがない。雨の日も気にせずに撮りまくれるのはありがたい。下の3枚は人類としてカメラに負けたくないという一心で傘を差さずにズブ濡れになりながら撮った。

不満点

センサーサイズ

冒頭で1/2.33型センサーは、パンフォーカスにしやすいためスナップに向いていると述べた。しかし、センサーサイズは写真のクオリティと切っても切り離せない。一般的には、センサーサイズが大きいほど写真のクオリティは高くなる。ぼくはメイン機ではフルサイズのカメラを使用している。ちなみにフルサイズは1/2.33型よりも約30倍大きい。つまり、1/2.33型のセンサーのカメラでは画質に妥協が必要となってくる。カメラは大型化してしまうが、次期モデルでは1.0型センサーの搭載を検討してほしい。

階調

1/2.33型の弱点は階調のショボさにある。明るいところにカメラを向けたらすぐ白飛びするし、暗いところに向ければ問答無用で黒つぶれを起こす。RAWで撮影すればある程度のリカバーは可能だけれど、だからといって白飛び・黒つぶれしてもよいという話ではない。

白飛び
黒つぶれ

収差

jpgであればカメラ内で自動補正されるので気にはならないけれど、RAWだと補正を掛けないと違和感は拭えないと思う。LightroomにはTG-7のレンズプロファイルがあるため、そこまで気にしなくてもよいかもしれない。それよりも気になるのは、パープルフリンジだろう。パープルフリンジとは、明るい背景、例えば空と電線のような暗い被写体を同時に写し込むと、その境界に現れるパープル色の偽色のことだ。正直、TG-7のパープルフリンジはすごいね。電線を写り込ませて撮ると真っマープルなフリンジがジワワッと滲んでいる。

パープルフリンジもりもり。

マニュアルモードが無い

TG-7はマニュアルモードが存在せず、シャッタースピードを自由に変更することはできない。カメラに詳しい人は、おそらく絞り優先(ダイヤルの表示ではA)を使うことになる。絞り優先と言いつつ、絞りは3段階しか選べない。例えばワイド端では、F2→F2.8→F8という珍妙な選択になる。細かい設定ができない点は、人によっては嫌がる要素だろう。クリエイティブな写真はお高いカメラにおまかせという割り切りが必要になる。とはいえ、もうちょっと自由に設定できれば助かる。アップデートでそこらはどうにかなるのだろうか。

融通の利かなさ

とっさに設定を変えたいときの操作が面倒くさい。設定を変えるには背面のOKボタンを押すと、画面の右側に項目が現れる。主に変更を加えるのはISOとWBとAFぐらいしかないが、ダイヤルで調整することに慣れていると、カチカチとボタンを押して変更を加えるのは煩わしい。

日付機能に対しても文句がある。上述しているが、ピクチャーモードをモノクロにして撮影しても、日付はカラーのままになる。日付機能はjpg撮って出しでしかオンにできないのだから、そこは連動してほしい。ちなみに、日付機能はピクチャーモードをART系に設定するとオフになってしまう。

日付機能に関してもうひとつ言いたいことがある。それは、日付のフォントの味気が無さすぎるという点だ。コンパクトフィルムカメラに搭載されていた日付機能のフォントであれば最高だ。OM SYSTEMさん、頼みます。

別売りアクセサリーが多すぎる

機能とは直接関係はないけれど、気になる点だ。正直に言ってしまえば、別売りアクセサリーは買わなくても問題ないという話ではある。それにしてもTG-7はちょっと別売りアクセサリーが多すぎる。コンデジに求められるアクセサリーの量の比ではない。2種類のマクロ撮影用フラッシュ、3種類のコンバーターレンズ、12種類の水中専用パーツ、スポーツホルダー、レンズバリア、シリコンジャケット等……。海で使うのであれば水中専用パーツは必要だとは思う。一方で、それ同梱じゃダメなんですか(例えばレンズバリアとフラッシュのFD-1)という物もあれば、使ってる人いるの?という物まである。しかもちょっと高め。アクセサリーの多さは、それだけ肝入りで作っている証拠なのかもしれない……。それなら機能も本気で頼みますよ、と思ってしまう。

結論

不満点のほうが文字数が多くなってしまった。しかし、ぼくは不満点に対して実はそこまで気にしていない。あえて不満点を挙げたに過ぎない。総評としては大変気に入っているカメラである。1台持っておいても損はないどころか、少しクセがある愛嬌たっぷりの相棒になってくれるだろう。今後は雨の日でも水中でも撮りまくりたいし、マクロでもバーチバチ撮りたい。写真好きなら買っちゃおう!!!

ギャラリー

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