古今集巻第十七 雑歌上 918番
難波へまかりける時、たみのの島にて雨にあひてよめる
つらゆき
雨によりたみのの島をけふゆけば名にはかくれぬものにぞありける
一本にきたれども
難波へ罷りける時、田蓑の島にて雨に遭ひて詠める
貫之
雨により田蓑の島を今日行けば名には隠れぬ物にぞ有りける
一本(いちほん、あるほん)に「来たれども」
難波へ行った時に、田蓑の島で雨に遭って詠んだ歌
紀貫之
雨が降ったので田蓑の島を歩くことになったのだが、名前の蓑では雨から隠れることは出来ないものだ
田蓑の島は大阪の天王寺あたりと言われていますが、詳しくは不明です。
「名には」は「難波」に通じます。
田蓑と言う名前だが、名前だけで蓑の役目は果たさないから、濡れてしまった、まぁ仕方ないよなあ、という歌です。貫之らしい論理的というか理屈のある歌です。
「一本(いちほん、あるほん)来たれども」は
「雨により田蓑の島を来たれども名には隠れぬ物にぞ有りける」
という伝承もあるということです。
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