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古今集 巻ニ 春歌下 107番

題しらず

典侍洽子朝臣

ちる花のなくにしとまるものならばわれ鶯におとらましやは

題しらず
典侍洽子朝臣
散っていく花が、泣いたから散るのをやめるのであれば、わたしも泣くのは鶯に劣るだろうか

 桜が散らないでほしいと鶯が鳴いて、それで本当に散るのが止まるなら、あたしも鶯に負けないで散々に泣くけれども、そんなことは無いから、という意味ですが、もうひとつ、去って行く男性に行かないでと泣いて、それで留まってくれるのなら、いくらでも泣くけれども、もうそんなことはないの、だから泣かない、という意味でもあると思います。泣かないと言いながら、泣いているのでしょうね。

 典侍洽子朝臣(ないしのすけ あまねいこ の あそん)は、春澄善縄(はるすみのよしただ)の娘、春澄洽子(はるすみのあまねいこ)。平安前期の女官です。典侍は、天皇に仕える内侍司(ないしのつかさ)の次官で、長官である尚侍(ないしのかみ)が任命されていないこともあるので、女官としてはトップクラスです。

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