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古今集 巻四 秋歌上 178番

おなじ御時、きさいの宮の歌合のうた

藤原おきかぜ

契りけむ心ぞつらき七夕の年にひとたびあふはあふかは

寛平の御時、后の宮の歌合の歌
藤原興風
そんな約束をしてしまった気持ちがつらい七夕の織姫、年に一度だけ逢うというのは逢ったことになるのか

 天の王様に会うのは年に一度だけだと約束をさせられた織姫の気持ちはつらいだろう、しかし一度しか逢えないのは逢ったことになるのだろうか、と言っています。
 恋をした男女が一緒に暮らせるように配慮した王様に対して、いざ一緒に暮らし始めると互いに夢中になって、二人とも仕事をさぼるようになった。王様にすれば裏切られた訳なので、引き離されても仕方がないようにも思いますが、王様なのだから激怒するのもおかしい話です。一方で織女ひとりしか天人の服が織れない、牽牛しか牛を飼っていないのは荷が重すぎる気もします。
 何かを象徴する人物がその役割を逸脱することで混乱が起き、新しく異なる段階へ発展する。今私たちが見ているものはこの新しい段階で、どうして今があるのかを悲劇(悲恋)で説明するという昔話の形なのでしょうね。

#古今集 , #秋 , #七夕 , #藤原興風 , #寛平御時后の宮の歌合

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