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古今集 巻第五 秋歌下 306番

是貞のみこの家の歌合の歌

ただみね

山田もる秋のかりいほにおく露はいなおほせ鳥の涙なりけり

是貞親王の家の歌合の歌
壬生忠岑
山の田を守る秋の仮庵に置く露は稲負うせ鳥の涙なのだろう

 実りの季節には、猪や鹿が食べないように、田んぼのそばに仮小屋を作って交替で泊まり込んで番をしたそうです。「秋の田の刈穂の庵」と和歌によく出てくるのがこの仮小屋です。「もる」は守るという意味です。平安期の貴族は実際には経験していなくて季節の言葉として詠んでいるだけと思います。
 いなおほせ鳥は、稲刈りの季節にやって来る渡り鳥らしいですが、詳しくはわかっていません。稲を背負った感じで頭を下げてちょんちょんと歩くのでセキレイだという説もあるそうです。

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