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古今集巻第十二 恋歌二 580番

題しらず

凡河内みつね

秋ぎりのはるる時なき心にはたちゐのそらもおもほえなくに


題知らず
凡河内躬恒
秋の霧のように晴れる時のない心には、日々の立ち居の向きもわからないことだ

「秋霧の晴るる時無き心には立ち居の空も思ほえなくに」です。
つらい恋の思いでいっぱいになって心が晴れないので、日々の暮らしもどこを向いてどこにいるのかもよくわからない、と詠っています。
「空(そら)」は、向きとか方向の意味ですが、意識しなくてもできるという意味でもあるように感じます。暗記していることを「そらで覚えている」というときの「そら」に通じるのだと思います。
「おもほえなくに」は、自然にそう思えてくる意味の「おもほゆ」の未然形「おもほえ」+否定の形容詞「なし」の連用形「なく」+理由を表す格助詞「に」です(最後の「に」は格助詞なのかあやしいです)。

#古今集 , #恋歌二 , #凡河内躬恒 , #秋霧 , #立ち居 , #そら

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