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古今集 巻一 春歌上 39番

くらぶ山にてよめる

つらゆき

梅の花にほふ春べはくらぶ山やみにこゆれどしるくぞありける


暗部山で詠んだ歌
紀貫之
梅の花が香る春の頃は、暗部山の暗い道を越えて来ても咲いているのがはっきりわかるものだ

「しるく」:形容詞しるし(著し)の連用形。明白だの意。
「くらぶ山」:暗部山という暗い道の山。暗いという同じ意味の言葉で次の「闇」につなげています。
 闇の中でも梅の花は香りでわかるのだよと言いたいために暗部山を持ち出しているので、本当に暗部山を通ったのか、その時にで詠んだのか、そのあたりのことはなんとも言えない気がします。
 くらぶ山がどこの山かはわからないそうですが、誰もが、ああ、あの山は名前通り暗そうだなと思うような山なのでしょう。ですので、京都の鞍馬山のことかとも言われています。
 鞍馬山は、若狭や北陸方面から京都へ戻るときに通ることがあったようで、ここさえ越えればもうすぐに都だという嬉しさと不安の気持ちの高まりもあるかもしれません。

#古今集, #春, #梅の花, #くらぶ山, #紀貫之

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