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古今集 巻ニ 春歌下 80番

心地そこなひてわづらひける時に、風にあたらじとて、おろしこめてのみ侍りけるあひだに、をれる桜のちりがたになれりけるを見てよめる

藤原よるかの朝臣

たれこめて春のゆくへもしらぬまにまちし桜もうつろひにけり

病になって寝込んでいた時に、風に当たらないように、帳をおろして引きこもるだけで過ごしていた間に、折ってきた桜が散りかけになったのを見て詠んだ歌
藤原因香朝臣
家の中に閉じこもって春の様子もわからない間に、待っていた桜も花の時が過ぎてしまった

 自分自身が病で寝込んでいる間に、人生の華やかな時期を逃したかもしれないという残念な気持ちもあるのでしょう。
 藤原因香は平安時代前期の女性。藤原高藤の娘、典侍。典侍(てんじ、ないしのすけ)は、後宮の女官のほぼトップで天皇のお側近くに仕える身分で、乳母などがなるか、公卿の娘が任命されるそうです。

#古今集, #春, #桜, #藤原因香

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