意識現象学におけるアルコールについての一考察 篇
1. サービスはウィンブルドンの真ん中で 夜が更けて、時刻は深夜に差しかかろうとする頃、男性客が一人、入り口からズイズイッとカウンターへと歩を進めてくる。
この日は、平日の夜だというのに、店内は結構、混み合っていて、空いているカウンターも残り一席となっていた。ぼくが、その空いている一席を、右手でどうぞと促すと、男性客はそっと座って間もなくこう言った。
「いま、ご飯を食べて来ました。お酒もたくさん飲んで来ました。あと一杯だけ、飲んで帰りたいと思います。何か適当なものを