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チノアソビ大全

Podcast「チノアソビ」では語れなかったことをつらつらと。リベラル・アーツを中心に置くことを意識しつつも、政治・経済・その他時事ニュースも交えながら林田(専門:総務省地域力創…
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2023年7月の記事一覧

宍道湖のご夫婦:今週の一枚篇

今週は、過去に撮った写真にまつわるエピソードをお届けしたいと思う。 (なんとなく、シリーズ化できそうな気がしている) 記念すべき1カットめは、島根県立美術館に仕事で行った際に、宍道湖(しんじこ)で撮った1シーン。 島根県美は宍道湖沿いに湾曲した形の建造物となっており、「なぎさ」をイメージした菊竹清訓氏(福岡県出身)の設計。日没を拝める形である上、閉館時間は日没に合わせているため、毎日変わるという徹底っぷり。 島根県民にとって、宍道湖はそのくらい身近でとても大切な場所なのだ

才能は適材適所 篇

 人材という文字が部品的で非人道的だということで、「人財」という字に置き換えられることが多い。しかし元来、「材」の字はそれのみで才能の意味を持つので、この置き換えにはあまり意味がないように思える。  人材の育成や発見、その用い方について『論語』で孔子は次のように述べている。  君子は小さな仕事を卒なくこなすことはできないが、大きな任務を引き受けることができる。逆に小人は大きな任務は引き受けられないが、小さな仕事はコツコツとやり遂げることができる。  この文意を額面どおり

「家庭教師のトライ」と「こどもちゃれんじ」はどちらが正しいのか:和製英語篇

ついに来週、チノアソビは100回を迎える。 感慨深い。 ここまでご視聴くださった皆様にこの場を借りて御礼申し上げたい。 「誰も聴いてない」と思いますが。( ̄ー ̄)ニヤリ さて。前口上の長さには定評のある後藤だが、本日はただひとつ、これだけをお伝えしたい。 ①林田暢明のWikipediaに、「フクリパ」にてコラム執筆の記述がない。 ②林田暢明のWikipediaに、Podcast「チノアソビ」の記述もない。 ③林田暢明のWikipediaに、「合同会社チノアソビ」代表社員の記

意識現象学におけるアルコールについての一考察 篇

1. サービスはウィンブルドンの真ん中で 夜が更けて、時刻は深夜に差しかかろうとする頃、男性客が一人、入り口からズイズイッとカウンターへと歩を進めてくる。  この日は、平日の夜だというのに、店内は結構、混み合っていて、空いているカウンターも残り一席となっていた。ぼくが、その空いている一席を、右手でどうぞと促すと、男性客はそっと座って間もなくこう言った。  「いま、ご飯を食べて来ました。お酒もたくさん飲んで来ました。あと一杯だけ、飲んで帰りたいと思います。何か適当なものを

ナウシカこそがSDGs

なぜだか2週続けてナウシカを観て号泣している 思えば長いこと、ジブリといったらトトロ推しで、なぜかというと一番平和に思えてきたから (もちろん、トトロにこめられたテーゼの深さはあるとして、比較の問題)  ただここにきて思うことをよくよく考えると、バブル突入前に宮崎駿先生がこの物語を紡ぎあげた凄まじさに震え、その深淵まで落ちきったところからアニメというエンタメにまで昇華させたパワーに圧倒されるのだ 毎作、出るたびに「引退」の二文字を口にされているのも頷ける 文字通り身と魂

自分の引き戻し方:お守り篇

先日、朝からさっぱり動けないほどの腰痛に見舞われた。 長年、背中から腰にかけてはずーっと痛いので割と平気なほうだったのだが、身動きがとれなくなったのは初めて。 そしてその日、動けるようになってからのスケジュールが、試写を挟んで前後が出版を控えているクライアント先での校正まつりで、文字通り徹夜となった。 その数日前の日曜日には、スナックチノアソビで足にマメができていた。 要するに、大変活動的と思われている後藤だが、続くと満身創痍の水槽がすぐにオーバーフローするのだ。しょうもな

カエルとの対話 篇

 皆がもう寝静まってしまった、或る蒸し暑い夜。  一匹のカエルが泣きだす。  そうすると、釣られてか釣られないでか、カエルたちは一斉に叫びだす。  瞬時に。それはもう、おそろしいまでのスピードで。  静かだった辺りは、まるで都会の真昼のような喧噪に包まれる。  しかも、暗闇のまま。  「カエルよ。お前たちは、何故、そんなに懸命に泣くのだ。」  ぼくは、その力強くも悲しげな声の理由を問う。  すると、中でもいちばん年寄のカエルという奴が、ぼくの前にピョンと飛び出してきて

政治資金パーティーに行ってきた:命日篇

明日で1年となる安倍さんの命日を前に、改めて、国政の大切さを感じた一日を刻みたいと思う。 今週、とある代議士の政経フォーラムに行ってきた。 ひらたく言うと、政治資金パーティーである。 昔から、「パー券」とか「政治献金」とかとセットで報道されることが多かったため、謎が多く、あまり良い印象をお持ちでない人もいるかもしれない、そんな政治資金パーティー。 しかし、これは「政治資金規正法」第八条の二で規定されているもので、別に何ひとつ悪いことではないのだ。 縁あってパー券を購入

死生観-輪廻(リング)-篇

1.  唯物論者の夏 暑くなってきた。夏が来る。  妥協しない、アセらない、寂しさに負けない夏が近づいてくると、この話をフと思い出す。  ところで齢も五十に近くなって来ると、  「ひょっとして、ぼくの霊感って強いんじゃないのかッ?」 と感じるようになってくる。とにかく色んな意味で、見てはいけないものを見てしまったり、そこにあるはずの無いものの存在を、ガッチリと受け止めてしまったりすることがあるのだ。  だが多分、気のせいだ、と思っている。  ぼくは、学生時分から経